SDGs 大学プロジェクト×Yamato Univ.

大和大学の紹介

大和大学は、2014年(平成26年)に開学した、大阪府吹田市にキャンパスを有する私立大学です。

JR大阪駅から3駅目の吹田駅を降りてからキャンパスまでたった9分で到着できるという関西ナンバーワンの抜群のアクセスを誇るロケーションに大和大学があります。

本学では、「大志を、まとえ。」の建学の精神の下に、学生と教職員の「情熱」により、次代を担うのにふさわしい人材の育成を目指し、そのために着実に成長できる教育・研究体制を整えています。

2014年の開学当初、教育学部と保健医療学部の2学部からスタートした本学は、2023年現在で、6学部8学科からなる総合大学へと発展してまいりました。

AIの急速な進化と普及によって、新たな価値を創造し、未来を切り拓くためには、失敗を恐れずに挑戦する姿勢を持った人材の育成が必要であると考えます。

そして、将来、本学で培った知識と経験を活かして、新しい歴史と輝かしい未来を創造していってもらいたいと思います。

本学の社会学部では、2022年4月に「SDG研究推進室」を設立し、「持続可能な社会」や「暮らしやすいまち」をテーマとする研究に、学生達自らが主体となってプロジェクトに取り組んでおります。

来る2025年の「大阪・関西万博」を契機として、本学の学生と教職員一丸になった取り組みを国内外に発信するとともに、お互いに高め合い、成長していきたいと存じます。

SDG研究推進室設立の経緯

SDG研究推進室は、「ガンダムプロジェクト(※1)」の1つである「ガンダムオープンイノベーション(※2)」(2022年3⽉29⽇公表)などを進めるために、2022年4月に設置したものです。

私自身は地球環境学を専門とし、国際法や国際政治などの学問を通じて環境問題に関する研究調査を行ってきました。これまでの論文などの発表を通じて、学者としての活動にとどまらず、学生や地域社会を巻き込んだ取り組みを行いたいという思いが強まりました。

この思いに基づき、学生たちとSDGsをテーマにしたプロジェクトについて話し合っている最中、一人の学生から「SDGsの一環としてチョコレートを売ってみたい」という相談を受けました。この相談をきっかけに、対外的な活動をスピーディーに進めるために、大学の枠を超えて「SDG研究推進室」の設立を発案しました。SDG研究推進室では、学生主体でプロジェクト等に取り組むこととし、教員としては必要な場合に対外的な交渉などのサポートを提供する立場にあります。

また、SDG研究推進室が任意団体であるため、外部との契約や申請、販売などの手続きに関しては、透明性を確保しながら社会貢献に寄与するために、大学発ベンチャー企業である「株式会社ヴェリダス」を同時に設立しました。なお、株式会社ヴェリダスの取締役の一部を学生が務めることで、学生に自覚を持ってもらい、自らが挑戦しながら、社会に働きかけていきたいという志の下でプロジェクトに取り組んでもらいたいと考えております。

(※1)ガンダムプロジェクト…フィクションであるガンダムの世界の宇宙世紀を教訓とし、より良い世界を目指すため、バンダイナムコグループがガンダムを旗印に、ファン・外部パートナーとも手を組んで、今後加速するであろう様々な問題を描いたガンダムのメッセージ(人口問題・地球環境問題)について、人類が価値あるものとして捉えて、未来の子供たちのために様々なアクションを行っていこうとするプロジェクトのこと。

(※2)ガンダムオープンイノベーション…バンダイナムコグループが進める「宇宙世紀」とその背景にある「社会課題」と「未来技術」の掛け合わせにより未来の夢と希望を現実化するプログラムのこと。このプログラムでは企業や団体を超えた「共創」がテーマに掲げられ、その「共創」のテーマに相応しいパートナー13チーム(プランを共創する採択パートナー11チームと、その活動をサポートする位置づけとしてアライアンス2チームの合計13チーム)とともに「来るべき”現実の宇宙世紀”に向けて」の取り組み行うものである。大和大学社会学部SDG研究推進室はチームの一員として採択されている。

SDG研究推進室の活動内容

SDG研究推進室の活動としては、主に2つあります。ひとつは研究者としてSDGsに関する研究成果を学会や論文といった形で発表、もうひとつは、学生がどのような活動を通じてSDGsを実現できるかという部分で、各学生に提出してもらった企画書をもとに5つのプロジェクトが動いています。

それぞれのユニットごとに独自性を持った取り組みを実施していますが、ここではその中でも、チョコレートユニット「blanc」、ラーメンユニット「麺の下の力持ち」、コーヒーユニット「珈琲倶楽部Noir(ノワール)」の3つについてご紹介します。

チョコレートユニット「blanc」

まず、最初に手掛けたのは、チョコレートにおけるフードロス問題の解決に向けた活動でした。

チョコレートは賞味期限が一般的に半年から1年程度とされる中、バレンタインデー等で売れ残り、1~2か月の賞味期限しか残っていない場合、卸売業者は商品を買い戻してくれないので、結果として廃棄せざるを得ないという、いわゆるフードロスの状況にあります。

この問題を少しでも改善するため、チョコレートユニット「blanc」は、神戸市内のチョコレート関連会社との連携により、賞味期限が近づいたり、パッケージが一部破損したりして店舗で通常販売ができないものを購入して、それを学内で、4分の1、もしくは5分の1程度の価格で販売するという取り組みを行いました。すると、その取り組みに共感した大手の百貨店が売場を提供してくださり、本学の学生達が百貨店に出向いて販売を行うことで、百貨店を訪れる消費者に、チョコレートを通じたフードロス問題への理解を深めていただくことができました。

ラーメンユニット「麺の下の力持ち」

次に、ラーメンユニット「麺の下の力持ち」についてです。

このユニットの発端は、将来ラーメン店を開業したいという夢を抱く一人の学生のプロジェクトから生まれました。彼は年間400食ものラーメンを試食し、理想のラーメンを実現するため、自宅でラーメンを手作りし始めました。この経験が、彼に自らの手でラーメンを製造・販売したいという強い志を育みました。その後、彼はSDG推進研究室に相談いたしました。

SDG(持続可能な開発目標)に基づくアプローチを用いて、ラーメンの製造・販売プロセスを探求した結果、2つの重要な事実が明らかになりました。1つ目は、スープの素材となる”煮干し”は、大きさが不均一で規格外となるものは市場に出せないという問題が浮かび上がりました。2つ目は、玉ねぎなどの食材も同様に、規格外であれば廃棄されている実態も明らかになりました。

これらの課題に対処するため、彼は舞鶴の漁協や淡路島の農家を訪ね、これらの食材を調達するための交渉を熱心に行い、協力を取り付けました。その後、ラーメンの製作において多くの試行錯誤を重ね、関西地域で規格外で廃棄予定だった食材をふんだんに活用した「すいたぶるラーメン(※3)」を完成させました。

この「すいたぶるラーメン」を「第1回SAKANA&JAPAN FESTIVAL2022(魚ジャパンフェス)」という全国の魚グルメが集結したイベントで提供したところ、大好評となるとともに、この取り組みをきっかけに大勢の人にフードロス問題への関心を持ってもらうことができました。

コーヒーユニット「珈琲倶楽部Noir(ノワール)」

次に、コーヒーユニット「珈琲倶楽部Noir(ノワール)」では、フェアトレードコーヒー(※4)を用いることで、SDGsの「貧困をなくそう」「すべての人に健康と福祉を」などに資する貢献が可能であると考え、「ヒトにも地球にもやさしい」をコンセプトに掲げて取り組んでおります。

(※3)すいたぶるラーメン…「吹田市」の「すいた」と、英語の「suitable」(語訳:適切な、ふさわしい)の中の接尾語「able」(~できる)を組み合わせた造語として「すいたぶる」に「吹田で実現できる」という意味を持たせ、これにSDGsへの取り組みも含んだラーメンとして「すいたぶるラーメン」と名付けた。

なお、吹田市では「suitable city(スイタブルシティ)」として「吹田で実現できる」の意味を持たせ、「暮らすにはぴったりなまち」として、豊かな暮らしを実現し、市民にとって愛着や誇りが持てるまちを目指している。

(※4)フェアトレードコーヒー…開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易の仕組み」を「フェアトレード」と言い、この仕組みによって輸入されるコーヒーを「フェアトレードコーヒー」と言う。

大和大学 社会学部の学生の特徴

SDG研究推進室は社会学部に設置していますが、社会学部自体、創設3年目ということで歴史が浅いこともあって、自分達で歴史を作りたい、新しいことをやりたいという意気込みを持った学生が集まっているように思います。

また、社会学部という特性から、自分達の周りでの取り組みのみにとどまらず、社会への発信を行い、社会に貢献するために現場で実務を経験して刺激を受ける中で、自ら積極的に学んでもらいたいと思っています。

各ユニットでそれそれプロジェクトに取り組む中で、社会人として社会に出る前のリハーサル的な意味も持たせるため、例えば、会議を開催するに当たって議事録を作成したり、販売に係るイベントなどを開催した際に損益計算書を作成したりするなど、仮に赤字になった場合、その原因を探るなど必ずフィードバックを行い、チャレンジして失敗を繰り返す中でいろいろと学んで欲しいです。

SDGs探究AWARDS2022を受賞した「麺の下の力持ち」の活動内容

2022年4月にSDG研究推進室と株式会社ヴェリダスを設立し、いきなり翌月5月に日本最大級の魚食イベントとして関西で初めて開催される「第1回SAKANA&JAPAN FESTIVAL2022魚ジャパンフェス in 万博記念公園」での出店のチャンスを得ました。

ただ、出店までの準備期間がわずか1か月少々だったことから、販売するラーメンを完成させたり、保健所等、関係機関への手続きやPR、当日持ち込む材料や調理器具の準備等で大変ハードなスケジュールを余儀なくされ、この難局を乗り切るために、学生達と教員で分担して準備を進め、出店に当たっての保健所への手続きなどは私の方で行い、学生達には、試食を含め、販売するラーメンの仕上げに全力を注いでもらうようにしました。

ラーメン作りには学内の調理室や食堂を使ってもらい、販売できるまでに仕上げるため、仕込みと試食を何度も重ねた結果、煮干しを主体としたオリジナルの「すいたぶるラーメン」を完成させるまでに至りました。

3日間開催されたフェスティバルでの販売においてトラブルも多く、その中でも、最終日にスープが不足してしまい、材料の追加発注もできないという局面に見舞われました。

この難題に対して学生達は、今残っている食材でどのようなスープを作り出すことが可能なのかその場で試行錯誤した末に、新たな煮干しスープを形にすることができて、この難局を乗り切ることができました。

結局、予定していた650杯を完売できたということで、初めての「すいたぶるラーメン」の販売は大変好評をいただきました。

この「すいたぶるラーメン」が評判を呼び、吹田市の旭通商店街から、キッチンのあるレンタルスペースを用いて販売してみてはどうかというオファーをいただき、現在は月に2回ほど「すいたぶるラーメン」を商店街で販売しております。

学生がラーメンを作り、販売していることが非常に珍しいことのようで、様々な情報発信をしていく中で、大手百貨店から、催しでの出店の話をいただいたり、食材としての玉ねぎの仕入れ先の淡路島の洲本市から、地元の農業祭での出店の話もあり、それぞれ事前準備や保健所への届け出などを経て、出店・販売した結果、大変好評を博しました。

SDGsの解決課題にも含まれるフードロス問題の解決のほか、地域活性化のために、行政と地域と大学・学生とが連携・協働の下に取り組めていることに対して、非常に意義があるものだと考えています。

すいたぶるラーメンの販売で苦労したこと

食材については、すいたぶるラーメンの食材である煮干しや玉ねぎの調達先である舞鶴市や洲本市の生産者の皆さんと交流を深める中で、玉ねぎの供給先である洲本市の農家とSDGsに関する協定を締結したり、定期的な販売の拠点となる地元商店街とも「SDGs連携協定」を結んだりすることで、関係者双方が安心できるようにしています。

一方、苦労した点について、特に一番苦労したのは、ラーメンを作って販売する場合に必要な各保健所への営業許可の申請で、手続きや場所の利用に際して想像以上に苦労する場面が多々ありました。

出店する場所を管轄する保健所によって基準が異なっていることなどから許可が下りないという懸念もありましたが、申請の際に、より詳細な説明を行うことで理解を得ることができ、何とか許可されることとなりました。

また、場所によってスープの仕込みができない場合もあり、交渉が難しい部分もありました。そのようなときは交渉の部分では私が全面的にサポートし、学生たちには事前に学内の食堂を使って仕込んだものを冷蔵・冷凍してトラックで運搬する等、オペレーションなどを考えてもらうことで乗り越えました。

このプロジェクトに携わる前後の学生たちの変化

2022年4月にSDG研究推進室を設置し、⼤学ベンチャー「株式会社ヴェリダス」を設立して約1年数か月しか経過していませんが、学生達はとんでもない成長を果たしていると思います。

まず、ラーメンユニット「麺の下の力持ち」のメンバーの学生の場合、中心となって取り組んでいる学生が香港大学からの招待を受け、香港大学の学生達の前で、自分達が考案したラーメンと日本のラーメン事情を題目とした英語での講演を行いました。

彼自身、まったく英語が話せなかったので、約2か月、英語の得意な友人の力を借りて英語の特訓を行ったそうですが、準備期間中、緊張で夜も眠れなくなる日もあったと聞いています。

講演当日は約1時間の講義を行い、終わった後、現地の学生達とラーメン談議に花を咲かせていました。彼にとって、非常に有意義で充実した良い経験ができたのではないかと思います。この講演をきっかけに、現在、ラーメンユニット「麺の下の力持ち」のメンバーと香港大学の学生達が共同でラーメン研究をしています。

また、本学は出版業界との繋がりがある中で、ハワイ大学の出版部から英語による書籍の出版の話をいただき、現在企画しているところですが、その中で「すいたぶるラーメン」に関する部分については、その学生が執筆する予定としています。

また、このラーメンユニットで仕入れや販売等における経理を任せている経理担当の学生がいますが、このプロジェクトに携わる中で、簿記の資格を取得するなど、自身の成長に繋げたものとなっています。

そのほか、コーヒーユニット「珈琲倶楽部Noir(ノワール)」では、韓国の釜山で開催されるコーヒーフェスティバルに参加して、焙煎する段階から、フードロスやフェアトレードなど、SDGsに資する部分を考慮したコーヒーの提供を行い、「人にも地球にもやさしい」をコンセプトとしたコーヒーの魅力と取り組みを発信していく予定としております。

学生達の意気込みやモチベーション

SDG研究推進室の各ユニットで中心となって進める学生とサポートする学生達がいる中で、メンバー10数人からなるラーメンユニットを例に挙げると、中心となる1人の学生の熱意に感化されたほかの学生達が彼を支えるために努力して、自身の成長にも昇華させることができているのではないかと感じます。

さらに、このユニットのメンバーがそのまま卒業研究ゼミのメンバーとなって、まちづくりと地域の活性化という意味で、ラーメンを軸に学術的な側面から研究・考察を行っており、非常にモチベーション高く取り組めているものと思います。

SDG研究推進室での今後の取り組みと展望

SDG研究推進室の活動については、2025年開催の「大阪・関西万博」を集大成に考えております。
現在、万博に向けて、様々な企画案が持ち上がり、プロジェクト化しながら少しずつ取り組んでいるところです。

本学の社会学部は、バンダイナムコグループが推進しているガンダムプロジェクトの1つである「ガンダムオープンイノベーション」のパートナーの一員となっていますが、バンダイナムコグループが万博において、「機動戦士ガンダム」が示す未来の可能性などを構想とした「ガンダムパビリオン(仮称)」を出展する予定であると伺っており、このパビリオンにおいてSDG研究推進室の活動やプロジェクトの成果を発表したいと考えております。

そのほか、SDG研究推進室が、ポーランドのワルシャワ大学日本語学科とSDGs達成に向けた協定を締結しており、万博ではポーランドのパビリオンも出展されることから、ポーランド出身の作曲家であるショパンの曲のピアノコンサートを、吹田市の協力の下で開催したいと考えています。

また、大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」の愛称の名付け親が本学の社会学部の学生だったことから、その学生の協力により、SDG研究推進室のプロジェクトのPRを行っていきたいと思っています。

さらに、提携企業や海外の提携大学に協力をいただき、SDG研究推進室でのプロジェクトの完成形となるものを国内外に発信していきたいと考えています。