SDGs 大学プロジェクト × Chubu Univ.

中部大学の紹介

愛知県春日井市にある中部大学は、1964年に設置された私立大学です。「不言実行、あてになる人間」の育成を建学の精神とし、約43万㎡の丘に広がる豊かな自然に恵まれた美しいキャンパスには、文系・理系合わせて8学部 27学科 4専攻で学ぶ1万人を超える学生が集っています。

世界に開かれた中部大学では、24ケ国・地域の59大学・機関と交流し、共同研究をはじめ、交換留学や海外研修など多彩なプログラムを行っています。
また、国連の提唱するSDGs(持続可能な開発目標)教育にも注力し、いち早く「国際ESD・SDGsセンター」を設置し、地域ネットワーク「中部ESD拠点」の幹事機関を担うなど、早くからESD(持続可能な開発のための教育)に取り組んできました。そして、ESDを実践してきた教育をさらに発展させ、SDGsが掲げる17ゴールを視野に入れた科目を修得することで、学長認定資格が取得できるSDGs学際専攻を設けています。教育研究圏の下に全学的にSDGs意識を高め、すべての教員と学生を巻き込んだ教育と研究をより一層強化しています。

SDGsに取り組まれたきっかけ

2005年にESDが国連で提唱された時に本学が拠点校になりまして、活動を行うにあたって2009年に学内にESDセンターを設立して活動を始めたのがスタートです。それから国連の方がESDからSDGsに変わったことを受けて、本学も国際ESDセンターの名称にSDGsを追加したということになります。
そもそも私自身、建築学科の所属で、建築のエネルギーについて研究をしていた中で目に見えないエネルギーが目に見える形にならないかなということであったり、バックグラウンドなどから環境問題などにも興味がありました。

エネルギーを自分の手で作ってみようと考えた時に、ひまわりの種から絞った油を軽油に混ぜて、発電機でテレビをつけるというような啓発活動を子供向けにやっていました。その活動が学校の方で目に止まって国際ESDセンターの時代から活動に参加しています。

私は2020年に国際ESD・SDGsセンター長になったのですが、基本的には大学の本務を中心に、授業と並行しながらこのセンターの全体の運営の統括をやっています。最近では学内の連携なども主導的に行っています。

SDGs施策の内容

本学におけるSDGsの取組みについて、ご紹介いたします。

SDGs学際専攻プログラムと国際ESD・SDGsセンターの関わり

中部大学ではSDGs学際専攻というプログラムを行っています。これは教養教育科目を統括する部署が行っているプログラムで、指定された科目を学生が受講し、レポートを書いて審査を経て認定されます。

私は他の大学との連携講座や全学共通科目の授業で1〜2回ほどSDGsと建築を関連づけて話をしたり、SDGs全体についても話をしています。
国際ESD・SDGsセンターは教育プログラムを運営する組織ではないので、自ら授業やコースを作ることはできないですが、プログラムを作るときに相談に乗ったりしました。 学内で行っている学生の自主活動で我々の持っているネットワークから情報を提供したりできるので学内協力関係を築きつつありますね。

▼SDGs学際専攻プログラムについてはこちら
SDGs学際専攻(学長認定資格) | 学部・大学院 | 中部大学

学生 × ESDの取組み

学生の皆様へのSDGs(持続可能な開発目標)に対する意欲と関心について、また学生の皆様をどのように巻き込んでいくかについてお話しいたします。

取り組みの裏にある厳しい現状

学内ではESD・SDGs発表会の活動を通して学生たちのやっていることを見ています。この発表会は10組ほどが参加しているのですが、さまざまな分野の学生が集まって意見交換をする場になっています。発表を聞いていると学生さんが非常に積極的であることが感じられますし、ディスカッションの場を設けるとそれぞれが盛んに議論をして盛り上がっていくので、なかなか頼もしいなという風に思います。

それから我々ESD中部拠点の活動として、学外の活動のひとつにサステナ政策塾というのがあります。そこには若手の企業の方や政治家の卵たちに定期的に集まってもらって、テーマを設定して議論をして発表会をするというようなことをやっています。学生の参加はそれほど多くはないですが、参加した学生はいろいろな人との議論を通じて見識を高めたり、その後の就職に繋げているように感じますね。

このように積極的に参加してくれる学生に対しての場はいくつか設けています。
しかし、中部大学には1万人以上の学生がいますが、SDGs活動を行っていてホームページやESD通信に出ている学生はそのうちごくわずかな学生であるというのが現状です。私たちは情報提供やアクティビティへの参加を促したりすることはできますが、活動に多くの学生が参加するというのはなかなか難しいところがあります。

まだ浸透していない学生に向けてできること

先程お話ししたSDGs学際専攻のようなプログラムはオリエンテーション、あるいはホームページ等で学生には周知しているので、少なくとも学生はSDGsという言葉をそこで知るはずです。

あとは、プログラムの中で先生方に自分の学問領域と他の学問領域を関連付けてお話をする意識を持ってもらうというようなことはできるのかなと思います。
先生方がやられていることは必ずSDGsの17のゴールのどこかに関連すると思うので、それを意識しながら講義や教育研究をやっていただくのが良いと思います。

それから、学校運営もですね。まだまだ中部大学でもできているわけではないのですが、学校の運営でもサステナブルな活動をしているということを随所でPRするとかっていうこともできることのひとつだと思います。

まずは知るということ

「年間400万人の方が亡くなっているのですがその原因は何かわかりますか。」
私の専門でよくこの質問をするのですが、皆さんはわかりますか。

実は、世界には調理の時に燃料として薪や動物の糞を家の中で燃やしている住宅があります。そのことが原因で年間400万人くらいの方が亡くなっています。
薪や動物の糞を家の中で燃やしていると煤煙で呼吸器をやられてしまうんです。特に子供に影響が大きいです。先進国では、燃料は薪から煤煙の出ないガスに変わりました。

そのガスも、昔は石炭ガスだったところが全部天然ガスに変わって、それが今電気に変わろうとしています。そういう風に我々のような先進国というのは、食べるために使う調理のエネルギー源をクリーンなものに変えていっています。こういった家庭の身近なところから視野を広げることで、私たちのいる部屋の空気が綺麗になっている状況は科学技術によって成り立ってるんだということを知る事ができます。

そういうことを少し知ってもらうだけでも問題意識を持つことができて、それが飢餓の問題や貧困の問題を意識することに繋がっていくのではないでしょうか。

地域 × ESDの取組み

地域の自治体との連携活動で協定をいくつか結んでいて、そこで情報交換をしていこうとしています。大学のある春日井市とはかなり深い繋がりがあって、市民たちに大学に来てもらって勉強してもらうようなこともやっています。

それから、中部大学のキャンパスはオープンな管理をされています。早朝の大学に来るとウォーキングしてる人がいますし、図書館も学外の人は申請すれば使えるので地域の人たちが学内に入ってきて公園みたいな感じで使っていただいています。

あとは恵那にもキャンパスがあるので、そこでSDGs教育の拠点となるようなことをしようとしていますね。いろんな実験的なことをやっていく予定です。

今後の施策

「THEインパクトランキング」へのランクインとその過程で得た”気づき”、また今後の展望について述べさせていただきます。

客観的に見たことで見えてきたサステナブル

THE(Times Higher Education)というさまざまな大学のランキングを発表しているところがあって、つい最近インパクトランキングというSDGsに特化したランキングに中部大学がランクインしました。我々は3年前から申請を出していて、中部地区の私学の中では1番高いところにいます。申請にあたり、評価項目をひとつずつ検討していく中で、学校運営として意外と知らなかったサステナブルなところに気が付きました。

本学の場合は、整備されたキャンパスでのびのびと教育されているところが、評価されているように感じます。
先程お伝えした地域の人が大学の外から来て学内をウォーキングしているというような話はSDGsのゴールの11番「住み続けられるまちづくりを」という部分で評価していただけると思いますし、こうして外から見てもらうことによって我々の大学も結構サステナブルなんだなと改めて気が付くことができました。

学校的にはとてもいい環境にあると思うので教育はもちろん、学校運営の部分でもルールを守りながらサステナブルな方向性でやっているということをもう少しPRしていきたいと思っています。