SDGs 大学プロジェクト × Aoyama Gakuin Univ.

青山学院大学の紹介

2024年、創立150周年を迎えた青山学院。米国のメソジスト監督教会が日本に派遣した宣教師によって1870年代に創設された3つの学校を源流とし、キリスト教信仰に基づく教育を行ってきました。大学のキャンパスは東京都渋谷区にある青山キャンパスと、神奈川県相模原市にある相模原キャンパスの2カ所にあります。

青山キャンパスは、常に日本のカルチャーと情報の中心地である渋谷・青山エリアにあり、JR・私鉄各線「渋谷駅」から徒歩10分、東京メトロ「表参道駅」から徒歩5分という絶好のロケーションです。人文科学系・社会科学系の7学部17学科が集結し、都心ならではの立地を活かした学術研究や文化創造の情報発信型キャンパスとして、青山学院の伝統を受け継ぎながら、常に最先端の教育環境づくりを続けています。

2003年に誕生した相模原キャンパスには、理工学部、社会情報学部、地球社会共生学部、そしてコミュニティ人間科学部の4学部が集い、先進の研究設備が整っています。
けやき並木のプロムナードやチャペル前の豊かな自然が心地よく、伸びやかに学習できる美しい環境が広がっています。

また地域に開かれたキャンパスとして、地元団体や自治会との交流も活発です。陸上競技部(長距離ブロック)が箱根駅伝で優勝した際は、地元団体の主催で駅前パレードを開催するなど、地域ぐるみで陸上競技部を応援し、その活躍を見守ってくれています。

このように地域や社会と密接に関わり合いながら、世界の未来を拓く「サーバント・リーダー*」を育むこと。それが青山学院大学の使命なのです。

*青山学院大学が提唱するサーバント・リーダーとは、「仕えるもの“Servant”」と「先導者“Leader”」を組み合わせた存在のこと。すべての人と社会に献身的に仕えると同時に、至誠(極めて誠実なこと)・質直(飾りけがなくまっすぐなこと)を兼ね備えた導き手となる人物を指します。

社会との連携を強化する青山学院大学の新たな動き

ー社会連携に特化した部署が新たにパワーアップしたと伺っていますが、詳しく教えてください。

社会連携部・濱本嘉郎 氏(以下、濱本氏):近年、社会連携・社会貢献活動の重要性は世界規模で強調されてきています。企業だけでなく、日本のさまざまな大学でもその動きが活発化していることは、皆さんもご存知でしょう。本学においても、自治体や産業界、他大学との連携を深め、社会連携・社会貢献活動のさらなる拡充を図ることを目的として、社会連携部社会連携課が存在しています。

これまでは、各学部や教授個人が個別に活動しており、総合的な窓口がなく、大学としての連携がまだまだ十分とは言えない状態でした。そこで2022年6月に「庶務部社会連携課」を新設し、事務体制を整えることで、大学全体としての活動をより活性化させる仕組を確立いたしました。

そして2024年4月、さらに機能を拡大していくため、庶務部社会連携課から「社会連携部社会連携課」に改組しました。現在は計5名のメンバーでさまざまなプロジェクトを推進しています。

今後はさらに、本学でしかできない社会連携・社会貢献活動を実現していきたいと考えています。またさまざまな企画を実施することで、社会に貢献できるだけでなく、学生の学びの場になること、大学のブランド価値が上がることなど、「相互に関わりあう」活動ができることを目指しています。

「社会連携部社会連携課」として体制が強化されたことで、小さなアイデアやチャンスも活かせる環境になってきています。将来的には学生から社会貢献活動の企画案を募集する、などという動きも活発化するかもしれません。

メディアでも話題に!母の日のカーネーション企画とは

ー今年の「母の日」に実施されたカーネーション企画は、各種新聞のデジタル版やネットニュースでも多数取り上げられていました。この企画が立ち上げられたいきさつを教えてください。

社会連携部・池田洋将 氏(以下、池田氏):カーネーション企画は2017年より、SDGsの取り組みの一環として、本学と静岡県賀茂郡河津町との連携でスタートしています。当時の東京都渋谷区長が、日本に「母の日」を普及させた本学とカーネーションの産地である河津町とを結びつけてくださったのがきっかけです。

社会連携部・池田氏:「母の日」を日本に紹介し、定着させたのは青山学院ということは知らない方も多いでしょう。そこでまず、日本で「母の日」が始まった経緯をお伝えしたいと思います。
現在、世界中にひろく普及している5月第2日曜日の「母の日」の起源は、米国ウエストバージニア州にあるメソジスト教会で行われた1907年5月12日の追悼会とされています。この日、女性社会活動家のアン・ジャービス(1832〜1905)の娘アンナが、母をたたえて参列者にカーネーションを贈りました。その後、アンナは、母の日を公的な記念日とする運動を始めます。

そしてこの「母の日」を日本に紹介し定着させたのが、明治から昭和初期に青山学院に関わった3人の女性宣教師、マイラ・E・ドレーパー(1859~1935)、メアリー・J・ホルブルック(1852~1912)、ファニー・G・ウィルソン(1868~1957)です。彼女たちは、さまざまな教えを広めるために尽力し、そして「母の日」についても、日本で普及されるよう活動していたのです。

ファニー・G・ウィルソンがマイラ・E・ドレーパー、メアリー・J・ホルブルックの運動を継承し、日本各界の著名人に働きかけた結果、ようやく1932年、「母の日」が日本で初めて公式行事として祝われるようになりました。青山学院資料センターには、当時のプログラムや新聞記事が収蔵されています。

そんなふうに「母の日」と本学は切っても切れない深い関係があり、だからこそさらに盛り上げる企画として、大学でも新たにカーネーションを配布する、という試みを始めました。具体的には今年の5月12日、青山・相模原の両キャンパスに、合わせて約1000本の静岡県河津町産のカーネーションを設置し、集まった多くの学生たちがそれぞれの大切な方のために、色とりどりのカーネーションを摘み取ることができるようにしました。

社会連携部のメンバーが作成したメッセージカードも配布し、学生たちが大切な方への感謝の気持ちを綴って贈ることができるイベントにしました。1000本すべて、それぞれの大切な方のもとに届けられることができました。

カーネーション企画を通じて、学生に伝えたいこと

ー当日の学生たちの反響はいかがでしたか?

社会連携部・濱本氏:各自が記入したメッセージカードとカーネーションを写真撮影して大切な方へ送信している学生もおり「青学に入って良かった!」「両親が喜びます」などと、学生もとても喜んでくれていました。この企画を通して、私たちが届けたかったメッセージは「今自分が、学ぶ環境にいられることにまずは感謝をし、日々を大切に過ごしてほしい。また母の日イベントとして実施してはいるが、カーネーションを渡す相手はお父さんでも友達でも恋人でも誰でも良いのです。花を贈るそのこと自体が目的なのではなく、素直な想いを大切な方に伝える機会にしてほしい」ということです。

実際に花のもつ力というものは大きく、美しく咲き誇るその姿を目にしただけでみんなを笑顔にする不思議な魅力を持っています。今回の企画を通して、学生たちはもちろん、私たち社会連携部のメンバーも思わず微笑みがこぼれるような、楽しいイベントになりました。

社会連携部・市川あおい 氏(以下、市川氏):今年度は学生が企画立案に関わることはできませんでしたが、来年度以降は学生のアイデアも取り入れていきたいと考えています。その代わりというわけではないですが、今年度は「青学TV」(本学のYou tubeチャンネル)の学生に取材を行ってもらい、学生の間でも今後この企画がより周知されるよう工夫しました。現在コンテンツを編集中で、7月には公開予定で進行しています。

カーネーション企画のさらなる展開に期待

ーカーネーション企画の今後の展望をお聞かせください。

社会連携部・池田氏:同日、本学の幼稚園、初等部、中等部、高等部にもカーネーションを提供し、各設置学校でも園児・児童・生徒にプレゼントしました。本学の連携事業をきっかけに、青山学院全体で大切な人に想いを伝える日となり、その昔、宣教師たちが普及に努めた「母の日」のあるべき姿を継承することができたと思います。

このように幼稚園~大学・大学院までの繋がりをさらに深めること、河津町との繋がり・連携事業の周知に力を入れていきたいと思います。河津町のカーネーション生産者の方々にとっても、このプロジェクトが励みや誇りになれば、これほど嬉しいことはありません。またこの企画に限らず、今後は青山学院全体で繋がりを強めながら事業を展開していきたいですね。

スポーツを通じて地域の問題を解決するイベントなども開催

ー他にはどのような社会連携・社会貢献活動を手掛けてこられましたか?

社会連携部・市川氏:2022年から年に1・2回のペースで実施している「オール青山キッズスポーツチャレンジ」があります。教員を中心に社会貢献の一環として、スポーツを通じて地域の問題を解決することを目的に自主的に発信して今年で3年目、ようやく定番企画として認知されるようになりました。

地域の小学生を対象にさまざまなスポーツを体験できる機会を提供、各種部活動をしている本学学生には指導者として活躍してもらうことで、大学生にとっても貴重な経験の場となっています。また本学の初等部生も多く参加し、一貫校ならではの企画だと言えます。

今年は2024年1月に第3回目を開催。「優しいお姉さんたちがいっぱい」と好評の女子バレーボール部、事前申し込みでもチャレンジ希望者が圧倒的に多いバドミントン部、ロンドン五輪日本代表・長谷川恒平監督率いるレスリング部、華麗なダンスと衣装で観客を魅了する社交ダンス部など、多数の部が参加しました。車イスバスケットボールチームの「神奈川WSC」にもレギュラーでサポートしていただき、約10種の種目が体験できる会になりました。このように多彩なスポーツに触れ、実際に体験できるとあって、子どもたちも大いに盛り上がってくれました。

学生の立案で実現した日本コカ・コーラ株式会社との連携

ー学生が活躍し、実現したプロジェクトもあるとお伺いしました。詳しく教えてください。

社会連携部・池田氏:本学には、国際政治経済学部公認の学生団体があります。メンバーはSDGs(持続可能な開発目標)の達成のために、大学生は何ができるのかを考え、行動し、周りの人へのインフルエンサーになることを目指して活動しています。

そして2024年4月、長年彼らが推進してきた「マイボトルプロジェクト」が、ひとつの形になりました。
マイボトルプロジェクトは、「日々の飲料水のコストも経済的に苦しい学生にとっては負担になる。その負担を軽減し支えとなるように」との想いからスタートした企画です。

学生たちが自ら企画を立ち上げ社会連携部にプレゼンし、そのプレゼンを受け、部としても協力しながら、日本コカ・コーラ株式会社のウォーターサーバー「ボナクア®ウォーターバー」の誘致に繋げることができました。
冷水だけでなく炭酸水も給水できるとあって、早くも多くの学生や教職員から好評を得ています。今後はオリジナルデザインの炭酸対応ステンレスボトルの制作・販売も手がけ、マイボトルのさらなる普及を目標に掲げています。

社会連携部として今後目指すべき方向性

ー社会連携部の皆さまも、実に生き生きと活躍されていることが今回の取材でしっかり伝わってきました。最後に、部の皆さまの今後のプロジェクトへの意気込みや想いなどをお聞かせください。

社会連携部・濱本氏:マイボトルプロジェクトを例に挙げますと、これはSDGs(持続可能な開発目標)の達成のためのアクションであり、また学生の想いを形にする取り組みであるとともに、学生の学習環境を整備するという大学としての大切な役割を果たすものとして、成功を収めた事例と言えます。

本学では、今後もこのような形で自治体・企業等と連携し、学生にとってより良い機会を提供できるよう努めてまいります。