SDGs 大学プロジェクト × Yashima Gakuen Univ.

八洲学園大学の紹介

八洲学園大学は、2004年に開学した文部科学省認可の通信制大学です。
開学当初から専用のeラーニング・システムを活用し、一度も来校することなく大学卒業や各種国家資格取得が可能としました。現在は約3,000名、10代~80代までの幅広い方が日本全国・海外で学んでいます。

リカレント教育に力を入れている理由

–リカレント教育に力を注ぐ背景についてお伺いしたく存じます。おそらく、後からSDGsという重要な視点も絡んできたのではないかと推察いたしますが、実際のところはいかがでしょうか?

その通りです。本学はもともと社会人の方々を対象とした教育を提供するために設立されました。社会人の学びを一層深め、さらなる成長を促進するという目的を掲げ、その中で教育プログラムを展開してまいりました。また、高校の保護者の方々も学ぶ機会を提供するという趣旨から、本学は創設されております。

このような背景から、実際にリカレント教育というアプローチは、以前から導入されておりました。SDGsという概念に関連しているというのは事実ですが、基盤となる考え方やアプローチは、SDGsが広まる前から存在していたと考えております。

–差し支えない範囲でお聞きいたしますが、高校生の保護者に対する学びの機会を提供しようと思った背景について、お話しいただけますでしょうか?

現在、八洲学園大学は生涯学習学部生涯学習学科の1学部1学科のみですが、以前は生涯学習学部内には人間開発教育課程と家庭教育課程という二つの課程が存在していました。

特に家庭教育課程は、家庭教育に関する知識を深めるためのカリキュラムが設けられ、一方で人間開発教育課程は、社会で活躍する大人を想定して教育プログラムが構築されていました。当初、保護者の方を対象とした学びだけを想定していたわけではありませんが、通信制高校の試験に困っているご家庭の保護者と接する機会が多くあり、こうした状況から着想を得て、学びの機会を提供するというアイディアが浮かび上がったのだと思います。

なお、現在では生涯学習学科として、人間開発教育課程の要素を引き継ぎながらも、より広範な学びの対象に対応している形を取っています。

–なるほど、興味深いですね。こうした経緯を通じて、現在のリカレント教育の推進に至るプロセスが、新たな視点から展開されていく姿勢として、非常に新鮮で魅力的に感じられます。

リカレント教育の内容と学校の特徴

–リカレント教育の取り組みの内容と、それに加えて学校の特徴について、もう一度詳しく教えていただけると嬉しいです。まず、取り組みの内容としては、どのような活動を行っているのでしょうか?

まず、本学は開学の初期からe-Learningを導入し、そのベースとなるオンライン授業を展開しております。日本において初めて通学不要で学位や各種国家資格の取得ができる大学としてスタートしました。また、文部科学省が指定する通信制大学であり、その枠組みの中で資格取得を推進しています。

2013年には司書や学芸員といった国家資格の取得を希望する学生の増加に応じて、正科生の資格・リカレント編入学制度を設けました。これは正科生として、国家資格の取得だけでなく、他の専門資格の取得や本学の卒業資格の獲得も目指すことができる制度となっています。
この制度の導入により、司書の資格取得を目的として入学し、その後学芸員資格などの他の資格を取得しながら卒業も目指すといった学生が増えました。また、資格だけを取得したいという学生向けには科目等履修生と呼ばれる学生区分を設け、一定の科目を修了することで国家資格の取得が可能です。

–なるほど、納得しました。また、学校の特徴について教えていただけますか?

通信制の大学が数多く存在する中で、私たちの学校の特徴は、何と言っても「生涯学習学部生涯学習学科」の存在です。

他の学部や学科とは異なり、特定の学問分野にとどまらず、広範かつ多様な分野を学びながら、長期間にわたり在籍して学び続けることができます。

具体的に申し上げますと、正科生の1年次から入学される場合、最長で12年間在籍いただけます。在籍期間が終了してしまった場合でも、本人が希望する理由をしっかりと申請いただき、その内容が確認できれば、再入学という形も選択できます。したがって、12年間の在籍を一度区切る段階を迎えることになりますが、その後も在籍を続けることが可能です。

–素晴らしいことですね。通常の4年間とは異なり、仕事をしながらや、他の活動と並行して勉強することが通常の環境として提供されているのは、非常に印象的です。確かに「生涯学習」という名前通りだと思います。

最近では、卒業を必ずしも希望する学生だけでないという傾向があるのは確かです。若い方々にとっては4年間での卒業が目標の方もいらっしゃいますが、長期間にわたって深く学び続けたいと願う学生の方が多い印象です。

実際、「卒業要件を満たしても、まだ学びたいです」という学生の声も聞かれます。こういった学生の声に応えるためにも、自動的に卒業ということは行わず、卒業のための申請手続きを行うことで卒業としています。

–なるほど、確かに、一般的には大学卒業が一つの節目とされることが多いですから、そのような新たな選択肢が出てきたことは大きな変化ですね。

また本学では、オンライン形式でのメディアスクーリングを取り入れています。来校型のスクーリングではないため、大学への来校は必須ではありませんが、希望すれば実際にキャンパスを訪れることも可能です。

実際多くの学生がオンライン上で授業を受けており、この方式により、場所や時間に縛られずに学ぶことができる柔軟性が確保されています。

オンライン授業における課題

–オンラインで授業を受ける形態が主流とのことでしたが、具体的な進行上の課題などがあれば教えていただけますか?

実際の授業はZoomのように顔が映るわけではなく、主にチャットを通じて進行されています。学生の表情が見えず、対面形式の授業のように授業の内容に対する学生の表情や反応を見ながら進行することができないため、教員側にとってはこの部分が一つの難しさと言えるでしょう。

ただ、システム上には理解度ボタンという機能が備えられており、学生自身が自分の理解度を示すことができるようになっています。それによって学生の反応を確認することは可能ですが、やはり表情の面では制約があります。

–確かに、表情が見えないという点は授業の進行において重要な要素ですよね。学生とのコミュニケーションにおいても影響を及ぼすと思います。また、対面ではない授業環境において、学生のサポートについても難しい点があるのではないでしょうか?

そうですね。例えば就職支援の場面では、通常であれば履歴書の添削などのアドバイスが行われますが、本学ではメールや電話でのやり取りに限られるため、学生の経歴や意図を正確に把握することが難しいと感じています。相手の顔や表情が見えないことで、細かいニュアンスや意図を理解するのが難しくなる面があるため、これも一つの課題と言えるでしょう。

課題解決のために意識していること

–なるほど。では、オンライン形式での授業を進めていく中で、学生の支援を行うために意識していることや工夫をしていることを教えていただけますか?

学生支援センターとしてできることを考えたときに、こちらからのアクションを増やすというものがありました。この方針に沿って、いくつかの取り組みを行っております。具体的な事例としては、定期的に開催しているオンラインでの説明会や交流会が該当します。

また、履修登録の締め切りが近づいている際には、学生の方々に対してメールでお知らせを送るなどして、重要な期限をお伝えしています。さらに、学生の声を反映させ、学修のサポートを充実させるために、学生専用の情報ページの充実や学修の手引き(冊子)の内容を見直しています。

個別ではありますが教員も、学生とのコミュニケーションを大切にし、質問や相談に迅速に対応しています。特に、受講内容に関する疑問や理解度を示すためのボタンを通じて、学生のフィードバックを受ける努力も行っております。

その他の支援制度

–学生支援センター以外にも支援制度はあるのでしょうか?

そうですね。支援制度は学生支援センター以外にも存在しています。具体的には、入学前の相談を担当する「入学支援相談センター」と、在学中の学生生活全般をサポートする「学生支援センター」があります。また、就職や転職に関しては「キャリアコーディネート室」が支援を行っており、大まかに三つに分けられます。

–シニア割など「50歳以上」の「学びなおし」制度も充実されていますね。

そうですね。シニア割は2013年頃から始めたのですが、取り入れてから50歳以上の学生が増えたことを受けて、その世代のキャリア支援の必要性を感じました。現在も引き続き、学び直しを促す観点から学費のサポートなどの面で50歳以上の方向けの支援制度を設けています。

–50・60代の学生の「学びなおし」の意欲は高いのでしょうか?

こうした年代層の学生は、学びに対する熱意が強く、熱心に取り組む姿勢が見受けられます。年齢が上の学生ほど率直なフィードバックを提供してくれる傾向があり、学校にとっても貴重な存在となっています。「学びなおし」に必要となる書籍の貸し出しも、Web上で手続きが完了できるので、大変喜んでいただいています。

今後の展望

–近年、学ぶタイミングは学生に限らず多様化していると感じます。教育方法の変化や時代の変遷、そして現在の状況についての見解を教えていただけますでしょうか?

確かに、現代では社会に出た後も学び直す機会が非常に重要です。卒業後にすぐに大学進学するだけでなく、社会経験を積んだ後に再度大学で学び直すことも価値ある選択肢とされています。このアプローチは、私たちの大学が一貫してきた未来像を表していると言えます。

しかしながら、この考えが浸透した結果、これまで本学が提供してきた「ネットで卒業できる大学」というプログラムは、他の大学でも取り入れられるようになってきました。

特に最近では、コロナ禍によってオンライン学習の普及が急速に進んだ印象があります。本学も入学者数の増加から、オンライン学習への需要が増していることが窺えますので、こういった競争を勝ち抜くためには、差別化と特色の強調が欠かせないと感じています。

ですので、オンライン学習が普及してきた今だからこそ、本学は通信制大学のe-Learning大学のパイオニアとして、更なる進化を遂げていくためにも、今後もカリキュラムの充実や学習環境の整備を進めていこうと考えています。

学び直しを考えている方へ

本学の魅力の一つとして、学び直しを考える皆さまにとって高い自由度があります。興味や関心が湧いた際、「何か学びたいな」と思う気持ちが芽生えた時に、ぜひ本学が選択肢の一つとなることを望んでいます。

つい先日も、学内に訪れた学生の方が、学び始めた後に楽しみを感じ、別の科目にも取り組んでいる、とおっしゃっていました。

私たちはこうした学生の体験が増えることを願っています。最初は資格を取得するために入学される方でも、学びの魅力に触れていただき、長期間にわたって学びを深めていただけることは、大学としても喜ばしいことです。

もし、このインタビュー記事を通じて学びを再考する機会を得る方がいらっしゃれば、ぜひ本学のe-Learningプログラムなどもご検討いただければ幸いです。

皆さまの学びの道において、有益な選択肢となれることを心より願っております。