
SDGs 大学プロジェクト × Showa Univ.
目次
昭和大学の紹介


昭和大学は、医学部、歯学部、薬学部、保健医療学部(看護学科・リハビリテーション学科〔理学療法学専攻・作業療法学専攻〕)および8つの附属病院を擁する医系総合大学です。「至誠一貫」を建学の精神とし、人の痛みが理解できる“奉仕”の志を持った医療従事者の育成を最大の使命として、教育と研究に取り組んでいます。
昭和大学の特長の一つが、山梨県の富士吉田キャンパスでの1年次全寮生活です。学部の異なる4人が同じ部屋でともに過ごす時間は、大学生活の中で大きな意義をもたらすものです。また、全学部の教員や附属病院が密に連携して構築する、学部連携チーム医療教育も大きな特長です。学部の違う学生がひとつのチームを組み、お互いの専門知識やスキルを共有しながら、学生自ら考え、解決に向けて共に学びます。
具体的な事例を挙げると、PBL(Problem Based Learning)形式の演習を行い、患者さんにどのような治療方針や寄り添い方、サポートが必要だろうか?といった課題に学部連携のチームで取り組みます。数日間にわたるディスカッションを経て、チームごとにそれぞれの提案を発表する形式の授業が続けられています。このような取り組みにより、学部連携・多職種連携の視点からみると、ダイバーシティへの意識が広まっていると言えるでしょう。
イギリスのタイムズ・ハイヤー・エデュケーションが発表した「学生・教員比率が優れた大学の上位100校」(2022年)において、昭和大学は教員一人あたりの学生数が1.9人と、世界で12位にランクインしました。昭和大学ではすべての附属病院に全学部の臨床教員を配置し、多数の教員によるきめ細かい臨床実習の指導を行っています。
学生は目指す職種を早期から体験し、職種間の連携によるチーム医療、各職種の専門性、生命の尊さを知ることで高い目標意識を持って学び、高い実践能力と問題解決能力を身につけることができます。
ダイバーシティに取り組まれたきっかけ
昭和大学は医療系の大学ですが、これまで学内にダイバーシティを担当する部署が存在しておりませんでした。医療の分野にもダイバーシティは求められており、例えば地域の医療機関との連携、医師、歯科医師、看護師、薬剤師等の多職種連携、そして多様な背景を持つ患者さんとの関わりなど、多くの関係性によって成り立っています。そのため医療の世界でもダイバーシティが不可欠であるとの認識から、私は昭和大学においてダイバーシティを推進する部署の立ち上げを提案しました。
「ダイバーシティ」という言葉は、一般的には男女などの性別を指すイメージがありますが、それだけにとどまりません。ダイバーシティは、お互いの違いを尊重し、多様な価値観や考え方を理解することを含んでいます。
私たちは、こうした多様性への理解を深めることが、今後の医療の発展に大いに寄与すると信じています。そのため、活動の対象を職員に限らず、学生にも広げ、全学的に取り組みを行っています。
ダイバーシティ&インクルージョン推進室の取り組み
この章では、ダイバーシティ&インクルージョン推進室の活動について、触れていきます。
ダイバーシティとインクルージョンの理解促進
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ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進室を設立した際に、学内のダイバーシティ&インクルージョンの認知度を把握する目的でアンケート調査を実施しました。現在、SDGsは学内の講義にも組み込まれ、学生のダイバーシティに対する認知度は以前と比べて向上していると感じています。しかし、上記のアンケート調査結果からは、まだまだ認知度が十分でいない状況も明らかになりました。
したがって、まず基本的な部分、つまりダイバーシティとは何かを、その定義を理解してもらう必要があると考えています。その上で、異なる背景や価値観を持つ人々との多様性を理解し、受け入れることができるようになって欲しいと願っています。
前述のように、本学では医学部、歯学部、薬学部、保健医療学部の4学部が共存しています。この多様性を活かし、自身とは異なる価値観や考え方を持つ人々との交流を経験し、ダイバーシティや多様性の大切さに気づいてもらえることを期待しています。
リーダーシップ・グローバル人材の育成
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医療従事者は日常的に、患者さんの状態を鑑み、「このような治療方針をとりましょう」といった具体的な決定を下したり、「この薬を処方しましょう」といった選定を行うことが求められています。日々の業務に必要な判断力を養い、自らの発言に責任を持つ能力、他人の立場や気持ちを考慮する力が不可欠であり、これらの能力は男女を問わず、誰にとっても育むべきものとなっています。
近年、医療の分野でもグローバル化の潮流を受け、日本だけでなく、世界中の研究者と連携し、情報交換を行う機会が増えています。将来の医療従事者には、国際的な視点を持ち、海外の研究者と議論を交わす能力が求められています。自身の意見を明確に表現する力も、極めて重要です。
今後の活動の一環として、グローバル能力の向上を図る講座の開催などが、将来の医療の現場において有用になるのではないかと考えています。
悩みに寄り添う支援
D&I推進室の活動の中で、仕事と生活の両立に課題を抱えている方々が多いことが明らかになりました。当推進室では、こうした方々に向けて、両立をしていくための具体的な方法や、支援制度等の取り組みを紹介しています。特に女性は結婚や出産などのライフイベントとキャリア形成の時期が重なるので両立の悩みを抱えることが多いです。
現在、本学全体の女子学生の比率は、7割近くなり、将来的には医療従事者として活躍する彼女たちの存在が大きなウェイトを占めることでしょう。これに伴い、医療業界における男女の比率も逆転していくことが予想されます。したがって、将来的なキャリア構築や、仕事と私生活の両立について、様々な悩みが生じることも想定されます。
こうした悩みに寄り添えるような支援ができる場所として、この推進室が学内のネットワークづくりの一つとして役立てたら良いなと考えています。
今後の展望
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設立して1年半が経過しましたが、現在、ダイバーシティに関する相談の窓口やアンケート調査を通じて、必要な取り組みを洗い出しています。
学生の中には、ダイバーシティ&インクルージョンに興味を持ち、大学全体を変えたいという意欲的な人々もいます。彼らの声も可能な限り取り入れ、学内の意識を高めていくことを目指しています。
私たちの活動はまだ始まったばかりですが、昭和大学独特の連携の強さと、温かい学内の雰囲気を活かして、お互いの違いを理解し合えると信じています。
今後は、学内のすべての人が活躍できるような多様な働き方、学び方ができる環境づくりを推進していきたいと考えています。そのために必要な改善策を考えていきたいと思っていますし、学内の各組織と連携し、より良い環境づくりに努めていければと考えています。