
SDGs 大学プロジェクト × Niigata University of International and Information Studies.
目次
新潟国際情報大学の紹介


新潟国際情報大学は、北東アジアを中心とした国や地域の言語や文化、社会状況を理解し、国際社会に対応できる人材を育成する「国際学部」と、経営学と情報システムの両方を理解しバランスよく身に付け、社会の発展に貢献できる人材を育成する「経営情報学部」の 2 学部 3 学科体制となっています。
両学部で高度な専門教育を行うとともに、1年時からの英語・情報教育、少人数教育、ゼミナールなどにより、一人ひとりの個性を伸ばしコミュニケーション力や問題解決能力を養います。また SDGs を含む地域連携活動にも積極的で、キャリアサポート体制が整っている大学です。
【国際学部】国際社会の将来を担う人材を新潟で育成する
国際学部(国際文化学科)では、国際理解と外国語の習得、そして留学が3本の柱です。
1年次に全員が必修英語と、英語、ロシア語、中国語、韓国語のいずれかを並行して学修します。また、各国の文化、歴史、経済などを学んで世界の多様性を理解し、平和で公正な国際社会づくりに貢献できる力を養います。
半年留学しても4年で卒業できる派遣留学制度があり、約半数の学生が留学しており、いずれも語学力の飛躍的向上はもちろんのこと、人間的にも大きく成長し、教養も身に付けることができます。
【経営情報学部】地域経済、情報社会の将来を担う人材を新潟で育成する
経営情報学部は2学科からなり、経営学科は商品企画や経営戦略、会計学など「情報を活用した経営」について学ぶことで、地域や社会の問題解決を提案・支援・実現できる能力を身に付けます。特に地域で活躍できる経営者や新しいビジネスへの挑戦、情報システムを活用しての経営、起業及びこれらを支援できる人材を育成します。
情報システム学科は情報を使い新しい価値を創造したり、自ら情報システムをベースとしたものづくりができる能力を身に付けます。将来は情報システムの幅広い知識と開発力を活かし、人間中心の情報システムの構築や利活用を通じて、社会や地域で活躍できる人材を育成します。
SDGs推進団体「Rainbow World Project」について


― SDGs推進団体「Rainbow World Project(以下、RWP)」が設立された経緯を教えてください。
RWP前代表 近藤 佳菜さん(以下、近藤さん):RWPは、顧問である山田 裕史准教授のゼミに所属していた先輩たちがゼミでSDGsを学んだことをきっかけに、そこで学んだことを具体的なかたちで社会に還元しようと考え設立された、SDGs推進団体です。
現在は学内でSDGsの認知を高める活動だけでなく、地域社会との連携を深め、多くの支援をいただきながら、学外でも積極的に活動を展開しています。
― 学内外でのSDGsの普及や啓発活動を積極的に展開するには、相当な根気や熱量が必要だと考えますが、その熱量の源はどのようなところにあるのでしょうか?
近藤さん:個人的な回答になりますが、正直なところ、以前の私は授業でSDGsや社会情勢について学んでいてもどこか他人事のように捉え、聞き流してしまっていました。そんな時、山田准教授から海岸清掃への参加のお誘いをいただきました。過去にボランティアなどの経験はありませんでしたが、まずは参加してみることに決めました。
実際に海岸へ足を運んでみると、そこには拾いきれないほどの大量のゴミが散乱しており、その光景に大きな衝撃を受けました。この経験が私に、「自らも何か社会に貢献したい」という気持ちを芽生えさせ、RWPへの参加に至りました。それが、私の活動の原動力のひとつになったと思います。
地域の小学生を対象としたSDGsワークショップの開催

― RWPの活動の中で、特に印象に残っている体験やプロジェクトはありますか?
RWP旧代表 濱島 穂乃花さん(以下、濱島さん):私たちの活動のなかで特に印象的だったものは、2023年5月に岩室小学校で実施した、SDGsに関するワークショップです。
このイベントでは、小学生を対象にSDGsに関するクイズを出題し、遊びを取り入れながらSDGsの重要性を学んでもらいました。さらに、廃棄してしまうペットボトルを再利用したアクアリウムを作るワークショップも行いました。子どもたちに海の現状を知ってもらい、普段何気なく使っているものや行動そのものがSDGsの達成に繋がっていることを伝えられたと思っています。
また、ワークショップの後には小学生も自ら海岸清掃を行ってくれました。彼らが自発的に次も参加してみようという気持ちになってくれたことは、私たちの活動目標の一つでもある「実践の輪を広げる」にも繋がると感じています。その様子を見て、非常に嬉しく思いました。

― 大学生と小学生では、言葉や世界観の違いによるコミュニケーションの難しさがあったと思います。理解を深めるために、どのような工夫をされましたか?
濱島さん:1年生から6年生の小学生が対象だったため、例えば6年生には理解できる説明が1年生には難しい場面もあり、全員が楽しめるような工夫が必要でした。
そこで、視覚的な興味を引くために多くの写真を使用したり、クイズ形式で参加を促すことで、学びながらも楽しめる環境作りに努めました。また、「SDGs」という横文字は避け、子どもたちが日常で耳にするような言葉をつかい、わかりやすく説明することも心がけました。
「田ノ浦うみまつり」を通じた地域連携

― 地域で開催されている、SDGsを学ぶイベントについて教えてください。
RWP前副代表 伊藤 愛里さん(以下、伊藤さん):約3年前から、大学から20kmほど離れた田ノ浦地区の開発協議会様と共同し、田ノ浦海岸にて「田ノ浦うみまつり」というイベントを開催しています。このイベントには主に三つの目的があり、一つ目は、RWPの活動内容を広く知っていただくこと、二つ目はSDGsへの認知を高めること、三つ目は地域活性化です。
イベントでは、フードロスを削減するために規格外の野菜や果物を使用した食品の販売や、環境に配慮した紙カップや木製スプーンを使用した食事の提供などを行っています。また、海岸清掃などで集めたゴミを再利用した風鈴作りのワークショップなど、参加者が直接体験できるブースも設けました。
このうみまつりをきっかけに、年間5回から6回ほど行っている田ノ浦海岸清掃活動にも新たに参加してくださる方も増えるなど、地域に対して良い影響を与えることができているのではないかと感じています。
― 田ノ浦うみまつりでは企画にも関わっているとのことですが、具体的にどのようなことをしているのでしょうか?
伊藤さん:田ノ浦開発協議会様と共同で企画の立案を行っております。開発協議会の方々からは様々な助言を頂き、それを元に準備を進め、当日はスタッフとしても活動しています。
企画にあたっては、どうしても学生の視点から考えてしまう面があります。そのため、開発協議会の方々の視点からのアドバイスを受けることで、新たな気づきを得られ、学びが深まっていると感じています。
また、販売する食品に関する交渉も私たちが担当しております。フードロスを削減するために、規格外品や賞味期限が近い商品を安価で販売している業者を活用しており、これらの活動を通じて実践的な経験を積むことができています。
SDGsを啓発する「SDGsステッカー」制作の背景

― 学内ではSDGsを啓発するためのSDGsステッカーを提示していると伺いましたが、どのようなものなのでしょうか?
渡邊 琴音さん(以下、渡邊さん):私たちが作成したSDGsステッカーは、2種類あります。一つはSDGsの各ゴールの現状を伝えるもの、もう一つは私たち一人ひとりがSDGsの達成に向けてできることを提案するものです。
これらのステッカーは私たち自身でデザインから内容までを考え、作成しました。日常的に利用する食堂やトイレの壁などに掲示することで、学内でのSDGsの認知向上に貢献しています。
また、2022年にはこのステッカーで「第2回新潟SDGsアワード」の奨励賞を受賞することもできました。
本学SDGs推進団体が「第2回新潟SDGsアワード」で奨励賞を受賞しました
― 学内の方々を巻き込んだり、理解を深めるために特に心がけていることやポイントはありますか?
濱島さん:私たちの大学は非常に広く、多くの学生がさまざまな場所で過ごしています。そのため、学内でも特に人々が日常的に集まる食堂などに焦点を当てました。
例えば、食堂のテーブル上や配膳エリアの近くに積極的に掲示し、食事をしながら自然とSDGsについて目にできるような環境づくりを工夫しました。日常の中でさりげなく目にする仕掛けによって、学内でのSDGsへの認知向上を図ることができたと感じています。
― ステッカーを貼った後、周囲からはどのような反応がありましたか?
濱島さん:実は、ステッカーを配布する前に、私たちの先輩が学内に対して「SDGsのゴールについてどれくらい知っていますか?」というアンケートを実施しました。
その際、回答者の 64% が SDGs のゴールについて「17 ある目標すべてあるいはいくつか知っている」と回答しました。ステッカーを配布した後に同じアンケートを再度実施したところ、同様の回答をした人の割合が 66% に増えていました。少しずつではありますが、ステッカーを通じてSDGsのゴールについての認知が高まっていることを示しているのではないかと考えています。
学外とのつながりを広げるために

― 学外の人と関わりを広げる際、特に意識されていることはありますか?
近藤さん:学外での活動では、まずはしっかりとしたコミュニケーションをとることを強く意識しています。岩室小学校でのワークショップや田ノ浦うみまつりなど、私たちの活動には幅広い年齢層の方々と接する機会があります。
したがって、幅広い年代の人々とのコミュニケーションは、私たちの活動を伝える上で欠かせません。そこで、私たちから積極的に声をあげ、わかりやすいメッセージを発信することを心がけています。
コロナウイルスの流行によってコミュニケーションの制限があるなかでも、初対面の方と直接お会いする機会があった際には、私たちの活動についてわかりやすく説明すること、そして相手の目を見て誠実に話すことを特に大切にしています。
― SDGsをはじめ、社会を良くする活動を啓蒙する際、学外の方々の興味をひいたり、参加を促すために意識していることはありますか?
濱島さん:例えば、私たちの活動に新たに参加してくれた方々には「私たちのインスタグラムをフォローしてみませんか?」と声かけを行っています。
私たちは日頃からインスタグラムなどのSNSを通じて、RWPの活動内容や、日常的にできるSDGsへの貢献活動について発信しています。このようなアプローチから興味を持っていただき、私たちの活動に足を止めていただくきっかけ作りをしています。
― インスタグラムでは、具体的にどのような情報を発信されているのでしょうか?
濱島さん:最近では、例えばストーリー内でイベントの告知を行っています。また、SDGsの理解を深めるためのクイズや、「私たちに今できること」というテーマで、社会課題に対する具体的な行動を紹介する投稿をしています。
▽ 公式アカウント
Rainbow World Project インスタグラムアカウント (@rainbowworldproject)
これらの投稿を通じて、見てくれる人が「自分もRWPの活動に参加してみたい」と感じられるような内容を心がけています。まずはぜひ一度、アクセスしてみていただきたいです。
活動を続けられる理由とは


― 今回の取材には、大勢のサークルメンバーの方々にご出席いただきました。最後に、活動を行う上でのモチベーションと、活動を続けて良かったと感じたエピソードについて一人ずつお話しいただけませんか?
濱島さん:RWPで活動を始めた当初、私自身はSDGsという言葉自体をほとんど知りませんでした。しかし、授業やサークルの活動を通じて徐々に社会課題に関する知識を深め、学んだことを実際の行動に移す中で、どのようにして問題解決に取り組めば良いのかさらに掘り下げることができ、モチベーションを維持する上で大きな力に繋がっていたと感じています。
また、私たちの代からは地域との関わりをさらに深めることを心がけていたため、海岸清掃などの活動では、参加者全員に積極的に声をかけるよう心掛けていました。その結果、今でも個人的に連絡を取り合う関係になった方もいらっしゃるなど、地域での交流が広げられたため、活動を続けてきて本当に良かったと感じています。
渡邊さん:私の活動におけるモチベーションは、イベントや活動に参加してくださる皆様からのポジティブな反応にあります。例えば、「いつも頑張っていますね」といった励ましの言葉や、「また参加しますね」という声をいただくことは、私にとって非常に大きな力となり、次回の活動に向けた意欲を高めてくれました。
また、RWPでの活動を通じて、自身の知識だけでなくコミュニケーション能力も向上したと感じています。以前は人との会話があまり多くなかったのですが、活動を重ねるごとに交流の機会が増え、多くの方とのコミュニケーションができるようになりました。
近藤さん:私は、活動に参加してくださった皆様から「また参加したい」という言葉や、実際に再び参加していただけることで、私たちの活動やメッセージが伝わり、実践の輪が広がっていくことを実感すること、そのものが私のモチベーションにつながっていました。
また、RWPでの活動を通じて、物事を深く考える癖が身につきました。SDGsは環境問題が土台となり、経済や社会問題と密接に関わっています。自分の行動が環境にどのような影響を及ぼすのかを考え、責任を持って行動するようになったことは、このサークルに参加したことでの大きな変化であり、非常に貴重な経験を得られたと感じています。
伊藤さん:私の活動を続ける上でのモチベーションは、参加者が継続して楽しめるような企画をどう作り上げるか、という点にありました。実際に多くの方々が繰り返し参加し、共に楽しんでくださっている姿を見られた時は、とても嬉しかったです。参加者とのコミュニケーションも、さらに多様な活動や企画を考えるモチベーションに繋がりました。
また、この活動を通じて、日々の行動の一つひとつを見直し、SDGsに繋がる行動を実践できるようになりました。さらに学内外のコミュニティが広がり、新たな活動へも繋がりました。環境活動だけでなく、人との繋がりを深められたことは、活動を続けてきたことで得られた大きな収穫だと考えています。
佐藤 航大さん:私がこの活動を続ける上でのモチベーションは、海岸清掃やうみまつりなどのイベントに参加してくださる皆様が楽しまれている様子を見ることです。
多くの方々が楽しんでいる雰囲気を目の当たりにすると、自分自身にも楽しい気持ちが伝播し、活動を続ける大きな動機に繋がっています。
活動を通じて良かったと感じる点は、日々のミーティングやイベントを通して、普段接することのないさまざまな年代の方々と交流できる機会が増えたことです。異なる視点や考え方を持つ方々と一緒に取り組むなかで、自らの考えが広がり、新たな気づきを得ることができました。
長谷川さん:私のモチベーションは、地域の方々とのつながりにあります。例えば、海岸清掃活動では、「海岸を綺麗にしよう」という共通の目標に向かって全員で協力することが非常に楽しく、大きな動機になっています。
また、活動を通じてコミュニケーション能力が向上しました。地域の方々をはじめ、さまざまな年代や立場の方々と関わる機会が得られたことは、自分にとって非常に有意義なものだと感じています。
寺澤 茉奈香さん:私は、海岸清掃などのイベントに参加してくれる人々から「以前、このイベントも開催していたよね」といった言葉をいただくと、私たちの活動が少しずつでも認知されていることを実感し、活動を続ける上で大きな励みとなります。
RWPに参加する前は、学外の方々や大学生以外の年齢層との交流がほとんどなかったのですが、活動に参加することで、幅広い年齢層の方々と交流する機会が得られました。この貴重な経験を通じて、多くのことを学んでおり、サークルに入って本当に良かったと感じています。
綿谷 朱羽さん:私のモチベーションは、海岸清掃や学外のイベントを通じて普段は出会うことのない多様な人々と一緒に活動できることにあります。これらの活動を通じてコミュニケーション能力が向上するだけでなく、参加者の方々と「環境を良くしたい」という思いを共有し、新しい考え方を学び、刺激を受けることができる時間を非常に楽しんでいます。
また、環境問題をより身近に感じられるようになったことで環境に関する情報に敏感になり、新たな知識が身についていることを実感しています。活動を通じて与えられている日々のポジティブな変化は、私にとって大きな収穫です。
未来の仲間に向けて
― 今後の活動の展望について教えてください。
RWP代表 長谷川 花音さん:今後は、現在連携している岩室地域や田ノ浦開発協議会様との関係をさらに深めていきたいと考えています。
現在取り組んでいる海岸清掃やうみまつりなどを通じて築いた繋がりを基に、これらの活動をさらに充実させるとともに、新たな取り組みにも挑戦していきたいです。
― SDGsに興味はあるけれど、なかなか一歩を踏み出せない学生の方へメッセージをお願いします。
濱島さん:SDGsに関心をお持ちの方や、地域とのつながりを深めたいとお考えの方々へ、「ぜひ私たちと一緒に活動を始めてみませんか」と呼びかけたいと思います。
ボランティア活動と聞くと、ハードルが高いと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、私たちの活動は学生を中心に非常にオープンな雰囲気で行われています。海岸清掃などの活動では、「学生が主催しているから参加してみようと思った」と仰る方々もいらっしゃり、幅広い年代の方々が集まっています。
これからも多くのイベントや活動を企画していく予定ですので、少しでも興味をお持ちの方は、ぜひ私たちの活動に参加してみてください。