
SDGs 大学プロジェクト × Mimasaka Univ.
目次
美作大学の紹介
美作大学は、岡山県に位置する、私立の大学です。創立から55年にわたる長い歴史を持ち、”食と子どもと福祉”の分野において、地域社会に貢献するための情熱あふれる人材を育成しています。
美作大学は、”教育のみまさか”として国家試験合格率など全国トップレベルの実績を残しており有名で、高度な教育を提供していることで知られています。また、自然豊かなキャンパスは、学生たちが学問に没頭するための最適な環境を提供しています。
学部では、専門知識だけでなく、実践的なスキルを身につけるための演習や実習も用意されています。学生たちは、教室内だけでなく、フィールドワークやインターンシップなど、実践的な経験を積むことができます。自分自身の可能性を広げる素晴らしい学びの場を見つけることができるので、おすすめです。
高等教育機関にとってSDGsとは
ーSDGsに関して深い知見をお持ちでいらっしゃる鵜﨑学長にお伺いします。高等教育機関にとってSDGsとは何でしょうか?
鵜﨑学長:SDGsは、現在非常に注目されている重要なテーマなのですが、実は高等教育機関が目指しているものは、実はSDGsの精神そのものです。そもそも歴史的に見て高等教育機関は人類の継続的な発展を支えるために存在しており、その役割は人類の繁栄に貢献することなんです。
言い方を変えると、大学等の高等教育機関や研究機関は、人類の豊かさを支えるために新しい時代のための知識や技術、文化を作り上げる役割を担っており、それゆえ常に革新的な存在であるわけです。例えば 医療や新しい技術開発や社会制度や社会経済の改革などに貢献し、そのことにより人類の豊かさを支えてきましたよね。人類社会のその時々の課題を改善し、人類の進歩に貢献してます。
人類にとって現在の課題は何でしょう。産業革命や医療、農業技術の進歩などによって人類の生産力が高まり、同時に人口が急激に増加し、その結果、地球の有限さを意識せざるを得ない時代に突入しました。加えて有限な資源の奪い合いで国家間の紛争が先鋭化し、核兵器など大量破壊兵器が使われるようになって、その意味でも人類の危機が表面化しました。
地球が有限であることは今や常識ですが、それが人類社会の持続的発展を脅かす重大な要素となり、人類生存の危機をもたらしている、それを直視することからSDGsの目標解決が喫緊の課題として提起されています。
私は、それを人類が解決できるかどうかは微妙と思っています。これは人類の知性がどの程度なのか試されているとさえ思います。そういう時代が到来したと言っても過言ではないと思います。いまこそ、その知性の府である高等教育機関は、底力を発揮しなくてはなりません。つまり高等教育機関の真価が問われているのです。
ー高等教育機関は、人類の進歩や物質的・精神的な豊かさを担保するために存在し、人類が直面している問題を理解し、解決するための人材の育成をすることが、使命であり、SDGsだということですね。
美作大学の特色
鵜﨑学長:私たちの大学は、”食と子どもと福祉”の分野において、エッセンシャルワーカーとして地域に貢献する人材を育成することが使命だと考えております。それらの分野でも地球規模で考えなければならない重い課題を抱えています。日本の食生活を考えた時、皆さんも気づいておられると思いますが、食料自給率の問題があります。日本のカロリーベースの食料自給率をご存知ですか?
ーいいえ。ただ、低かったと思います。
鵜﨑学長:そうです。農林水産省によると、38%と開示されています。要するに、食料自給率を見ると、現在日本はほとんど外国に依存している状態にあります。日本のフードマイレージは世界のトップと言われており、食料の運搬に大きなエネルギーが消費されており地球温暖化の要因になります。それに加えて、円高や世情不安で必要な食材が高騰したり不足したりで、食料安全保障も担保されていません。
つまり、本学のような大学でも、地球規模、人類的視野をもった人材育成は、必須となっているということです。
鵜﨑学長:少し角度を変えて、地産地消の話をします。地産地消は、運搬エネルギーがかからず、フードマイレージはほぼ0で、SDGsに貢献すること大です。私は50年ほど前になりますが、若い頃に初めてホルモンを食べたときに、その美味しさに驚きました。しかし、その後、どこに行っても美味しくなくて、ガムのようで、ホルモン嫌いになりました。ところが、本学の所在する津山に来て、B-1グランプリで上位にランクされて有名なご当地のホルモンうどんを食べたら、美味しかったのです。それは、外国から輸入されたホルモンではなく、新鮮なこの地で得られた国産のホルモンが提供されており、それが食材として使われているからだと思います。
ー地域の美味しいものを提供することが大切なんですね。それを活用することで、フードマイレージによる化石燃料の消費量を減らし、地球温暖化を招かないようにすることができますね。
鵜﨑学長:そうです。地域発のものを出していくことが大切なんです。私の場合、ホルモンうどんを通じて、いろいろ考えさせられました。沢山の人がその地域のものを食べることで、新鮮で美味しいものを味わい、地域経済を支援し、SDGsの達成に貢献するわけです。
ー地産地消の美味しいものといえば、「ご当地タニタごはんコンテスト」があるそうですが、具体的にはどのような取り組みなのでしょうか?
鵜﨑学長:「ご当地タニタごはんコンテスト」は、株式会社タニタが主催する、郷土料理を栄養面を考慮して健康的な食事にアレンジしたレシピを競う大会です。
昨年度、食物学科2年の学生が岡山の郷土料理「ばら寿司」をアレンジした料理で挑戦し、社会人や企業などからもエントリーがある中、見事全国グランプリを獲得しました。この取り組みは、地域に根ざした料理文化を継承し、地域活性化につながるとともに、SDGsの観点からは「住み続けられるまちづくり」にも貢献するものとされています。
ー地域の文化や食を大切にすることで、地域活性化に繋がるということですね。
鵜﨑学長:その通りです。このような取り組みを通じて、学生たちは地域に愛着を持ち、食や教育、福祉などの分野で広い視野を持ち、地域の課題解決に向けたアイデアや提案力を養うことができます。人類にとって、SDGsが提起している深刻な課題に対して、問題意識と、問題解決力を持った人材育成が地方大学にも求めています。本学が求められている重要な教育課題は、具体的にはこのような取り組みを通して達成されると考えています。
ー地域とのつながりや、地域の持つ資源を活かすことが、地域社会に貢献するための大切なポイントということですね。
SDGsに着目した経緯
ーSDGsについて、どのような歴史があるのでしょうか?
大学広報室 後藤 様: 私たちの大学では、SDGsが採択される前から、教育や学習活動で17の目標に合致する取り組みが行われていました。岡山県には大学コンソーシアム岡山という団体があり、18の大学が参加しており、ここでは各大学の情報交換が行われています。岡山大学がリーダーとしてSDGsの取り組みを行い、国立大学の中でも最先端を行く大学として評価されています。SDGsに取り組む必要性が認識され、鵜﨑学長が副会長という立場もあることから、SDGsに取り組むことになりました。また、私たちが立地する美作地域では、本学と津山工業高等専門学校が共同宣言を発表してSDGsの啓発活動を行う予定でしたが、コロナ禍により中断しました。この春より、市民向けに啓発事業を行ったり、学生や教職員と共に具体的な取り組みを行う予定です。
ーSDGsに向けての動機づけを教育の分野で取り組んでいるそうですね。具体的にどのようにアプローチされているのでしょうか?
大学広報室 後藤 様: はい、私たちの教育分野には、”食と子どもと福祉”があります。それぞれの分野には、人類的な課題が存在していると感じます。そして、学ぶことによって、それらの課題を理解することができ、教職員や学生たちに普及することができると期待しています。
しかし、現在の学生たちは、SDGsに関する知識や理解が不十分な状況にあります。私たち教育者は、学生たちにSDGsについて問いかけたり、投げかけたりすることで、その認識を促すように努めています。また、実は私たちの学生たちは高校までにSDGsに関する学習をしていないことが多いのです。そのため、一度SDGsについて学び始めると、多くの学生たちは興味を持ち、新しい発見をすることができます。私たちはSDGsに取り組むことで、乾いた土地に水を巻くように、心を動かし、学生たちにSDGsについての認識を広めることができると期待しています。
マスコットキャラクター:地域貢剣ミマダイン
ー「地域貢剣ミマダイン」というマスコットキャラクターについてお話しいただけますか?
大学広報室 後藤 様:「地域貢剣ミマダイン」は、2021年度のTVCMから誕生した、本学の新しいマスコットキャラクターです。当大学は20年間にわたり、奇抜なテレビCMを流す大学として注目を集めてきました。それに伴い、ネットニュースなどでも話題になりました。そこで、2021年には、新しいヒーローを作ろうというアイデアが生まれました。テレビCMで使用されたものを再利用して、ヒーローショーを行うことも視野に入れていました。
ーヒーローショーにはどのように行われたのでしょうか?
大学広報室 後藤 様: ただ子どもたちに喜んでもらうだけではなく、ヒーローショーを通じてSDGsに関心を持ってもらい、親子で一緒に学び楽しんでいただける地域貢献活動をしたいという思いで、ヒーローショーのコンセプトをSDGsの推進としました。
ヒーローショーのテーマは、SDGsを推進することです。そのため、SDGsを啓発するヒーローショーにすることに決めました。活動は、2021年の秋頃から始まり、1年間にわたって47回の公演を行い、観客動員数は延べ4000名を超えています。注目ポイントとしては、ヒーローショーを行なっているのは、学生さんなんですよ。
ー具体的にどのようにして活動が始まったんですか?
大学広報室 後藤 様: はい、本学には小学校教員免許や保育士・幼稚園教諭免許などの資格取得を目指す児童学科があります。子どもたちと触れ合う機会があります。そこで、子どもたちと触れ合えるヒーローショーに魅力を感じた学生たちが集まり、あのヒーロースーツを着てショーを行っているんです。サークル名は「ミチームミマダイン」と言います。大学にヒーローがいること、そして学生が主体的にヒーローショーを行いながらSDGsを推進し、地域貢献活動を通じて自らの学びにもつなげている活動は全国的にも珍しく、マスコミの方々から注目され、地域でもひっぱりだこになっています。珍しい存在として評価をいただいています。
ー なるほど、ミマダインヒーローショーということで、地元のイオンモール岡山で、出演されることもあるんですね。動画もあるとのことですが、どのような内容なんですか?
大学広報室 後藤 様: YouTubeで「ミマダインヒーローショー」と検索していただければ、実際のショーの様子が見られます。大人も子どもも楽しめる内容になっており、評価をいただいています。私たちも、地域の子どもたちが健やかに成長できるような環境づくりや、社会貢献活動を行うことを目的としています。また、学生たち自身も、sdgsについて学びながら、社会的責任を持って活動しています。
今後は、地域のさまざまな場所でミマダインヒーローショーを行い、より多くの子どもたちに触れていただけるようにしたいと考えています。また、sdgsヒーローとして、より具体的な社会貢献活動にも力を入れていきたいと思っています。
▼詳しくはこちら イオンモール岡山「未来わくわくSDGsフェスタ」でミマダインヒーローショー実施!200名以上が観劇!
食品ロス削減活動
ー貴学本学のSDGsの取り組みで代表的な最も重要なものは何ですか?
大学広報室 後藤 様: 食品ロス削減活動(フードバンク・フードドライブ)ですね。食物学科の学生たちで構成される食品ロス削減サークルがNPO法人と連携し、フードバンクで集まった食材で子どもたちに食事を作るという活動をしています。を材料にして、NPO法人オレンジハートつやまさんで作って食べることをしています。以前は、子ども食堂という形でしたが、現在は月に1回程度、お弁当にして配布しています。
▼詳しくはこちら 食品ロス削減活動(フードバンク・フードドライブ)
みまっぱぷらざ
ー学校独自のプロジェクトについてお聞きしますが、どのような取り組みがありますか?
大学広報室 後藤 様:はい。去年、津山市の商店街がほとんど閉店していたため、地元の商店街から空き店舗を改修して、店舗を出してほしいという依頼がありました。このプロジェクトは、地方創生や若者の定住を促進し、商店街の活性化を目的として始まりました。
改修された店舗「みまっぱぷらざ」では、週末に大学生が店員として働き、カフェの営業や学生出身地の特産品、学生サークル手作りのアクセサリーなどを地元の商品を販売しています。また、学生サークルがアクセサリー販売を行ったり、教員が専門分野を活かした住民参加型の講座を行い、本学の知的財産を地域に提供する場としても活用しています。に応じた子育て支援講座を開催したりしています。
ー先ほど、地元の特産品を店舗に並べる話がありましたが、そのことについて、最終的に利益が出るかどうかを含め、経営学的な側面も考慮されているのでしょうか?
大学広報室 後藤 様:店舗の立ち上げ期間が短かったため、今回は職員が基盤を作りました。学生は専門分野や特技を活かし、企画を提案することが重要だと考えています。そのため、このプロジェクトは学生たちのアイデアや能力を生かし、地元の商店と協力していることで、地域の活性化に貢献しています。
ーなるほど、よくわかりました。ありがとうございます。
▼詳しくはこちら みまっぱぷらざ
今後の展望について
ー最後に、今後の展望についてお聞かせください。
鵜﨑学長:私たちの目標は、地域社会と共に未来を創ることです。本学の大学短大とも50年以上の歴史を持っていますが、本学は、「地域によって生み出されて、地域によって育てられ、地域とともに歩んできました」。だからこそ、これからも地域との連携を深め、社会課題に取り組むことが必要です。具体的には、地域の資源を活かした産業の育成、地域の課題に対するソリューションの提供、地域の人材育成などを行っていくことが必要です。私たちは、地域との共創を通じて、人類の危機の立ち向かい未来を切り拓く大学づくりを目指していきます。
ー素晴らしい目標ですね。人類の持続的発展を、地域社会との共創を通じて、地域発展と切り結びながら進めていくことが大切なのですね。本日はありがとうございました。
鵜﨑学長:こちらこそ、ありがとうございました。