
SDGs 大学プロジェクト × Yamaguchi Prefectural Univ.
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山口県立大学の紹介


山口県立大学は、山口市にキャンパスを置く県立大学です。
1941(昭和16)年の山口県立女子専門学校の設立から1950(昭和25)年の山口女子短期大学の開校、1975(昭和50)年の山口女子大学の設置を経て、1996(平成8)年から男女共学化に併せ「山口県立大学」に名称変更して現在に至っています。
国際文化学部、社会福祉学部、および看護栄養学部からなる本学は「存在感のある地域貢献型大学」を目指し、豊かな緑に囲まれた広いキャンパスにおいて、約1,300人の学生が日々自己研鑽に励んでいます。
本学では、「人間性の尊重」「生活者の視点の重視」「地域社会との共生」「国際化への対応」の4つを教育理念として掲げ、地域における知の拠点として住民の健康の増進及び個性豊かな地域文化の進展に資する専門の学術を深く教授研究するとともに、高度な知識及び技能を有する人材の育成、並びに研究成果の社会への還元による地域貢献活動を積極的に展開し、それにより人々が生き生きと暮らす社会の形成に資する人材を育成することを目的としています。
2021(令和3)年、創立80周年を迎えた本学では、歴史と伝統を大切にしながら、より未来に羽ばたき、卒業後も山口県内はもとより全国各地で地域の人々の暮らしに貢献して欲しいという願いを込め、「羽ばたけ県大生!」のコンセプトのもと、マスコットキャラクター「わいぴよ」が誕生しました。
学生たちには、地域からより広い世界を見通して思考しようとする際に不可欠な「創造する力」を磨く学修者本位の学びを積み重ねて、地域を拓く力にして欲しいと存じます。
3C (Change, Connect, Community) project with YPUの概要と目標
平野さん:このプロジェクトは、県内の外国籍の子どもたちが地域の家族と実際に交流する機会を設けるもので、プロジェクト名の「3C (Change, Connect, Community) project with YPU」には、現状を変える「Change」と、県立大と地域をつなげる「Connect」、そして、地域の一員として行動する「Community」の3つの意味が込められています。
「参加者に母国や他の参加者の国の魅力に気付く機会や多文化について考える機会を提供すること」「地域住民と県内の外国籍の子どもたちやその家族をつなぐこと」「活動を通して県大の国際活動の知名度を上げること」の3つを目標として企画しました。
具体的には、昨年の8月から今年の1月にかけて、簡単なゲームや運動を取り入れたイベントなどを数回開催するなど、本学の学生と児童とその家族がお互いに交流できる機会を設けることで、3つの目標の達成に向けた取り組みを実施しました。
「3C」というキーワードの意味と外国籍の子どもたち
平野さん:このプロジェクトは、「Change」「Connect」「Community」のそれぞれの頭文字を取って3つの「C」を掲げています。
その中の1つ、「Change」は、現状を変えるという意味の「Change」で、今回イベントを開催するに当たって、市立平川小学校の辻本先生のご協力のもと、小学校に通っている外国籍の子どもたちは、休日の日中に外で遊ぶことが少ないことから、そのような外国籍の子どもたちと交流する機会を設けるため、平川小学校を訪問させていただき、学校における生活の様子を見学し、外国籍の子どもたちとコミュニケーションを取らせていただきました。
訪問先に平川小学校を選んだ理由と活動内容
麻生さん:平川小学校と本学は、以前から学科の授業を通じて交流があり、それにより強いつながりがあります。今回の活動においても、平川小学校の児童を中心に参加者を募ることにしました。
今年度は、計4回のイベントを開催しましたが、平川小学校訪問時は、外国籍の児童が普段学びに活用している国際教室で児童と話をしたり、休み時間に一緒に遊んだりしました。
また、児童との交流を図る上で、特に意識したこととしては、細かい配慮を行うということでした。イベントに参加する外国籍の児童の保護者の多くは自家用車を持っていないので、イベント会場への送迎のために大学側でバスを手配したり、学生が送迎時の案内をしたりしました。これにより、参加が難しい状況にある児童や保護者に対してもアクセス可能な環境を整え、平等な機会を提供することを心がけました。
平野さん:人集めの部分では苦労があったと感じています。特に、平川小学校以外の外国籍の子どもたちを参加させることが難しいと感じました。
現時点では、地域とのつながりがまだまだ少ない中で、私たち学生が主体となってイベントを企画し、開催の告知などのPR方法に工夫を凝らしました。ポスターなどは、日本語と英語の2種類に分けて作成しましたが、その効果について振り返ると、今後の課題として更なる工夫が必要だと感じています。
「なかよしFESTA」について

山内さん:昨年8月19日、第1回目のイベントとして、私たちは本学のALS教室で「なかよしFESTA」を開催いたしました。当日のプログラムは、色画用紙を使用した協働制作やミニゲーム、そしてクイズなどが含まれていました。手の形を模した色画用紙を虹に見立て、これを模造紙に貼り付ける作業を通じて、素晴らしい虹のデザインが完成しました。
その後、9月1日には本学の食堂で、先述の虹のデザインを元に、学生たちがオリジナルTシャツを制作しました。そのTシャツを使って行ったお渡し会では、平川小学校で子どもたちに楽しい時間を提供でき、喜びと感謝の言葉を子どもたちだけでなく、保護者の方々からも頂戴いたしました。
また、大勢で楽しむことのできる「じゃんけん列車」も実施し、会場は非常に盛り上がりを見せました。更に、参加者の母国に関するクイズでは、子どもたちだけでなく保護者も楽しんでいただけたようです。このイベントを通じて、参加者全体が笑顔になり、協力し合いながら有意義な時間を共有することができました。
虹をデザインとしたTシャツを贈ることになった理由と想い

麻生さん:手形で作った虹には、このイベントでの素敵な出会いが子どもたちにとって忘れられない思い出になりますようにというメッセージを込めました。
虹という形にすることで、それぞれ異なる方々が1つに集まってきれいな虹が完成するということを、1つの繋がりとして形に残したいという思いで、平川小学校の児童にTシャツを贈呈しました。
虹のベースとなる手形は、子どもだけでなく、保護者の方々の手形も含まれており、色や形、大きさも様々で独自性が表れているのではないかと思います。
第2回イベントの「スポーツFESTA」の内容とゲーム選び

山内さん:第2回目のイベントにおいて、当初の企画段階では、先の第1回イベントの「なかよしFESTA」と似た内容になる可能性がありました。そのため、当初の企画を見直し、全く別の内容に変更しました。
新たに企画した内容としては、「風船バレーボール」や「的あて」「ボーリング」「魚釣り」等の手作り感のあるお祭りゲームになります。これらのゲーム選びのポイントとして、私たち学生が子どもの頃に遊んで楽しかったもの、特にお祭りに出掛けたときに印象に残った楽しい思い出をくれたゲームを選びました。
また、参加者が児童のみならず、保護者や兄弟姉妹等の家族も参加していることから、みんなが楽しく遊べるものという基本的な考えをベースに、安全性にも配慮するように心掛けました。私たちの頃と同様に、何らかの景品をもらえたり、スタンプラリーのようなものが人気だった気がしますね。
「YPUドリームアドベンチャープロジェクト」からの支援
山内さん:「YPUドリームアドベンチャープロジェクト」は、大学生活をさらに楽しく豊かにするために、学生(個人やグループ)が自主的に企画・運営する独創的で魅力的なプロジェクトに対して、大学側が費用を補助することで夢の実現を支援する事業です。
この事業は、2006年度からスタートしましたが、毎年、学科や学年を越えたさまざまなプロジェクトが提案され、採択されたプロジェクトに学生たちが一生懸命に取り組むことで、学生の新しい発想による成長が促されるとともに、大学を活気づけてくれています。
「3C project with YPU」については、大学から10万円の補助をいただき、イベント開催時に必要な材料等の購入に活用させていただきました。
「3C project with YPU」の感想と今後の展望

山内さん:現在のプロジェクトは、今月(2月)の最終報告会をもって終了いたします。
これまでの活動内容や課題・反省点などについて、後輩に伝えるなど、来年度以降さらに充実した企画になればという思いがあります。
このプロジェクトの開催に向けて、準備の段階でくじけそうな場面もありましたが、子どもたちの笑顔と楽しんでいる姿にやる気と喜びを感じました。また、このプロジェクトに取り組む以前は、自ら何か行動を起こすような積極性がなかったのですが、プロジェクトに参加することで積極性や行動力が身についてきたのではないかと思っています。
平野さん:イベントの都度参加してくれる子どもたちと顔見知りとなり、子どもの方から話しかけてくれることも多く、そのことを大変嬉しく思いました。
このプロジェクトの準備も含め、プロジェクトに取り組むメンバーのそれぞれの役割を明確にして、それぞれ与えられた役割に責任感を持って臨めたことが良かったのではないかと考えています。
麻生さん:年間で4回程度のイベント開催にかかわらず、子どもたちと顔見知りとなり、子どもたちから声を掛けてもらえたことがうれしかったです。
山内さん:最後に、林先生、木下先生を始め、本プロジェクトを支援してくださった山口県立大学の方々、そして、毎回のイベントにご尽力いただいた平川小学校の辻本先生に、3C project with YPU 一同心より感謝します。