SDGs 大学プロジェクト × University of Miyazaki.

宮崎大学の紹介

宮崎大学は、宮崎県宮崎市にある国立大学で、教育学部・医学部・工学部・農学部・地域資源創成学部があります。多様な学問分野があり、様々な専門分野を学ぶことができます。
宮崎大学では、優れた教員陣の指導のもと、豊かな自然環境を活かした研究や、地域社会との連携による取り組みを行っています。これらの取り組みは、学生たちに貴重な経験や学びの機会を提供しています。
宮崎大学は、農学、工学や地域社会貢献などの分野で、高い評価を受けています。また、環境保全にも積極的に取り組んでおり、持続可能な社会の実現に向けた研究や取り組みも行っています。キャンパスは、豊かな自然に囲まれており、学生たちはリラックスしながら学びを深めることができます。また、多彩なスポーツ施設や文化施設も充実しており、学生生活をより充実させることができます。
宮崎大学は、多様な学問分野と取り組みがあるため、学生たちは自分自身の興味や将来の希望に応じた学びを追求することができます。自分自身を成長させ、社会に貢献するための学びの場として、宮崎大学を選ぶことをお勧めします。

SDGsに取り組んだきっかけ

-大学としてSDGsに取り組まれたきっかけというのが、そもそもどういったものになったのかをお伺いしてもよろしいでしょうか。
深見 教授:はい、宮崎大学は農学部を含め、教育・研究において地域に貢献することを目指しています。そのため、元々SDGsに取り組んでいたという背景があります。しかし、世の中でSDGsが注目を集めるようになったことで、SDGsに取り組んでいることを明確に示す必要性が出てきました。そこで、農学部では昨年、持続可能な地域社会の構築と世界への発信 -SDGsへの取り組みとデータサイエンスの融合-をスローガンに掲げ、SDGsに取り組む方針を打ち出しました。
-なるほど、具体的にどのような取り組みがされているのでしょうか。
深見 教授:農学部の中で、のうがく図鑑という教員の研究を簡単にまとめた資料を、SDGsのマークをつけて公開することから始めました。また、最近では全学でもSDGsに関する取り組みを進めており、研究紹介などをホームページで公開しています。
-大学の活動は、SDGsと密接に関係しているということですが、具体的にどのような活動が含まれるのでしょうか?
深見 教授:はい。大学の活動は、すべてSDGsの17の目標に必ず関連しています。これは、現在の社会的な流れや時代の要請に合わせて、大学が持つ役割や責任を果たすために、積極的に取り組んでいることです。
-SDGsの流れは、最近来たものでしょうか?また、SDGsに対してどのように捉えられていますか?
深見 教授:そうですね。実は、あまり知られていないのですが、SDGsの前には(ミレニアム開発目標:Millennium Development Goals)というものがありました。それから20年ほど経って、SDGsが採択されたという感じですね。個人的には、大学の役割がSDGs(地域課題の解決)に取り組むことなので、あらためて発信する必要ないのではないかと思っていましたが、社会的な風潮や時代の要請もあるので、大学の社会的な貢献活動の見える化を図っているところです。
-SDGsに対する取り組みの見える化として、SDGsのアイコンを使用することが挙げられますが、そのアイコンがない場合はSDGsに取り組んでいないと誤解されることがあるのでしょうか?
深見 教授:そうですね。SDGsのアイコンを使用することで、大学がSDGsに関心を持っていることを示すことができます。しかし、SDGsに取り組んでいるにもかかわらず、アイコンがない場合はSDGsをしていないと誤解される可能性があります。そのため、大学では、SDGsに関する取り組みを積極的にアピールすることが必要です。

SDGs施策の内容

のうがく図鑑

-具体的な活動があれば教えていただけますか?
深見 教授: 大学の農学部で行われている「のうがく図鑑」という研究紹介になります。教員ひとりひとりが自分が行っている研究がSDGsのどの目標に当てはまるのかを考え、それをまとめた資料を作成しています。この資料は、大学のホームページやFacebook上で公開され、SDGsに関連した研究内容が分かりやすく紹介されています。
-その活動がどのような効果をもたらしたのでしょうか?
深見 教授: この活動によって、教員ひとりひとりが自分が行っている研究がSDGsにどのように関連しているのかを理解することができました。また、SDGsを意識した発表を行うようになったことで、SDGsについての理解が深まったという効果があります。また、高校生の視点から見ると、自分たちの勉強している内容がSDGsのどの目標に当てはまるのかが分かりやすくなったため、大学の魅力的な活動としてアピールすることができるようになったと思います。

市民グループ「木花・加江田みつばちの森づくり」との植樹活動

-大学周辺の森がどんどん切られているそうですね。どのような状況なのでしょうか?
深見 教授: そうですね、最近は大学のすぐ隣にある森の杉がどんどん切られています。杉の値段が上がっているため、今後も切られる可能性が高いのですが、植樹がされていないケースが多いです。
-なるほど、そのような状況があるのですね。それでは、現在どのような問題があるのでしょうか?
深見 教授: 大学周辺の森が次々と切られていくことにより、森林破壊が進んでいるという問題があります。そのため、地域の人たちと連携して、植樹活動を行っています。しかし、植樹がされていないケースが多いため、現在は豊かな森を守るために地域の人たちと協力して取り組んでいます。
-なるほど、そのような取り組みがあるのですね。具体的にはどのような活動をしているのでしょうか?
深見 教授: 大学と地域の人たちが連携して、森林保全のための植樹活動をしています。大学の教職員、学生ボランティア、地域の人たちが一緒になって、大学周辺の森を良くするために取り組んでいます。これは、SDGs15 「陸の豊かさも守ろう」にも該当します。

図鑑「新・門川の魚図鑑 ひむかの海の魚たち」

-農学部 海洋生物環境学科の村瀬 敦宣 准教授は延岡フィールド(水産実験所)で研究をされていると聞きました。どのような活動をしているのでしょうか?
深見 教授: 延岡市にある水産実験所で、大学研究室の学生と一緒に、宮崎県内、特に隣町の門川町の豊かな魚の生態系を調査しています。門川町は昔から魚が豊富な地域として知られていますが、学術的にはその豊かな生態系を証明する研究がされていなかったため、魚図鑑「新・門川の魚図鑑 ひむかの海の魚たち」を作りました。
図鑑には815種もの魚が掲載されており、門川町の生態系を守るための普及啓発活動をしています。この図鑑は、ふるさと納税の返礼品にもなっているそうです。(https://www.furusato-tax.jp/product/detail/45421/5146791)
-なるほど、そういった活動が行われているのですね。その魚図鑑は、どのような目的で利用されているのでしょうか?
深見 教授: 門川町周辺の魚の多様性を学術的に証明し、門川町の魅力を発信することを目的としています。また、魚図鑑のデータを利用して、門川の魚かるたや門川の海の絵本などの制作物を学生たちが作って、次世代にその魅力を引き継ぐ取り組みも行っています。学生たちが制作した作品は、将来的にもSDGsの取り組みとして、門川町の生態系を守るための普及啓発活動に役立てられると思います。
-宮崎大学では、農学部のSDGs活動だけでなく、全学的にSDGs活動を行っているそうですね。具体的にはどのような活動がありますか?
深見 教授: 宮崎大学では、様々な分野でSDGsに関する活動を行っています。
例えば、「みやざき未来研究所」という講座があります。これは、地域の課題解決に向けた分野を超えたノウハウの共有や連携を目的として、神奈川県理事を務める脇雅昭氏が講師・コーディネーターを務め、宮崎のさらなる活性化に向けた議論を深める講座です。この講座は、学生だけでなく一般の方も無料で受講することができ、中高生から地域住民までが一緒になって宮崎の未来について考えることができます。
また、宮崎市役所や宮崎特攻基地慰霊祭実行委員会と協力して、「宮崎基地特攻資料展」というイベントを開催しています。これは、第二次世界大戦中に起こった悲劇を若い世代に伝え、戦争の悲惨さと平和の尊さを啓発することを目的としています。
さらに、宮崎銀行と宮崎大学が主催する「宮崎・学生ビジネスプランコンテスト」があります。これは、宮崎大学生だけでなく、宮崎県内の大学・短大・高専生を対象に、ビジネスの力を様々な地域課題の解決に役立て、持続可能で明るい地域づくりに貢献することを目的としています。このコンテストは、10社以上の企業がスポンサーを務める国内最大規模の大学生ビジネスプランコンテストであり、予測不能な未来社会を切り開くことができるアントレプレナーシップを持つ学生を育成することも目的の一つです。
そして、宮崎大学農学部では、JICAが主導するPEACEプログラムの一環として、アフガニスタン人を国内の大学院で受け入れる人材育成分野において、国内で最も農学系のアフガニスタン人学生を受け入れて来ました。しかし、昨今の政権交代により、本学に留学経験を持つアフガニスタン人の立場が苦境に追い込まれているケースがあることから、宮崎大学では現在、アフガニスタン等、紛争や戦争により人道危機に直面して、母国から避難してきた、または母国に帰国できない外国人卒業生及びその家族が日本社会に定着できるように、日本語や日本文化の学習支援や就職支援活動も行っています。
以上が、宮崎大学の全学的なSDGs活動の一部になります。宮崎大学では、地域課題や国際課題に積極的に取り組んでおり、持続可能な社会を実現するために必要な人材を育成することに力を入れています。今回は、農学部のインタビューのため割愛しますが、ご興味があればぜひ記事をご覧ください。

今後の施策

-宮崎大学では、SDGsに関連した施策をどのように進めていく予定ですか?
深見 教授:宮崎大学では、SDGsに関連した講義や事業に特化した取り組みは現状ではありませんが、すでに行っている事業について、SDGsに関連する点を把握し、今後も取り組んでいく方針です。
例えば、宮崎大学農学部がJICAが主導するPEACEプログラムの一環としてアフガニスタン人を受け入れている点には、SDGs16:「平和と公正をすべての人」に関連する部分があると考えています。
また、高校生などがSDGsに関する知識を持って入学してくることが多くなった現在、将来的にはSDGsに関連した講義やプログラムを導入することも検討しています。