社会貢献活動 × Hiroshima Bunka Gakuen Univ.

広島文化学園大学・短期大学のぶんぶんひろばは、社会貢献プロジェクトの一環として2010年5月から始まった学内にある子育てを支援する施設です。

少子化の影響を受け、子育て支援の必要性が高まるなか、ぶんぶんひろばは地域と大学・短期大学の架け橋として地域の子育て支援を担う重要な拠点となっています。

この記事では、ぶんぶんひろばの誕生背景から、具体的な活動内容、学生との繋がり、教員と保育士の役割、そして地域への貢献と展望に至るまで、その活動の奥深さに迫ります。

広島文化学園大学・短期大学の紹介

長束キャンパス

広島文化学園大学は、広島市(長束キャンパス)、呉市(阿賀キャンパス・郷原キャンパス)、坂町(坂キャンパス)、の4キャンパスからなり、看護学部・学芸学部・人間健康学部の3学部4学科において教育・研究活動を展開するとともに、看護学研究科・教育学研究科・人間健康学研究科の大学院3研究科体制で高度な専門的教育・研究を推進しています。

また、広島文化学園短期大学は、長束キャンパスでコミュニティ生活学科、食物栄養学科、保育学科の3学科において、実践的専門教育に取り組み、地域社会で活躍できる人材を育成して、60年の実績があります。

広島文化学園大学・短期大学は、建学の精神「究理実践(実践を伴う理論の追求)」に基づき、学生の主体的な学びを推進し、しっかりと「育てる」教育を行い、一人ひとりの夢や希望を実現することを教育方針にしています。

こうした教育方針のもと、これまで3万人弱の卒業生が健康・医療・福祉・教育の分野など、対人援助を主とする専門的職業人として活躍しており、今後も有為な人材を育成し、地域社会及び国際社会の発展に寄与していくことをお約束します。

大学・短期大学の中にある子育て支援施設 「ぶんぶんひろば」の誕生

— 広島文化学園大学・短期大学の社会貢献活動として、ぶんぶんひろばが始まったきっかけについて教えてください。

次世代育成を含む子ども・子育て支援は、今や国民的な課題と言えます。その背景には少子化の中で育った若者が親となり、子育ての体験の少なさから生じる精神的な不安や、一時的であっても生活が大きく変わることで社会から取り残されたような孤立感を感じる人の増加といった問題があります。したがって、現在は日常的に子育て仲間が集い、苦労や喜びを語り合い、共感し合う場が重要になっています。

こうした状況を受けて、本学でも社会的責務、地域貢献、学生の体験学習の観点から、子ども・子育て支援センターの設置計画が以前より検討されていました。そして、2010年の広島文化学園大学学芸学部設置計画に伴う新校舎建設に合わせて、旧事務室が子ども・子育て支援研究センターとして整備され、地域のニーズに応えるために「ぶんぶんひろば」としての活動が展開されるようになりました。

ぶんぶんひろばの活動内容

–ぶんぶんひろばは、主に3歳までの未就園児とその保護者を対象としていますが、具体的にどのような活動やサービスを提供されているのでしょうか?

本学の近隣には子育て支援施設が少ないため、地域の乳幼児を抱える保護者が集うことができる場へのニーズは高い状況にあります。通常の活動では、地域の親子が集い、それぞれが自由に遊ぶことができる場を提供しています。利用の際には1回100円の利用料を頂戴しておりますが、利用料については、傷害保険料として支出するほか、学園が予算措置する「ぶんぶんひろば」の活動経費の一部に充てています。

また、母親の思いや悩みを聞く相談室も設けており、こちらの相談室には子どもの発達の遅れや偏りを心配して相談にいらっしゃるお母様が多いです。こうした相談があった際は、まず保育士が相談を受け止め、内容によっては専門の教員につなぐことで、より専門的なアドバイスが可能となるよう配慮しております。

相談室に寄せられる悩みを見ると、発達の不安や心理的な問題、食事・栄養に関する悩み、玩具の選び方に関する疑問など、保護者の不安は多岐にわたります。そのため、様々な専門分野の教員が揃っており、保護者の皆様が安心して相談できる環境を学内に整えている本学の意義は大きく、地域社会にとっても貢献に繋がっていると考えています。

学生との繋がり

–学生がぶんぶんひろばを利用することはあるのでしょうか?学生との繋がりについて教えてください。

学生は、授業の一環としてぶんぶんひろばの活動に積極的に参加しており、子どもたちの自由な遊びに寄り添うだけでなく、事前に準備した絵本や紙芝居などの読み聞かせ、子ども向けのミニコンサートの開催なども行っています。

また、保育学科の1年生は秋の教育実習まで乳幼児と触れ合う機会がありませんので、ぶんぶんひろばに遊びに来られているご家族に協力していただいて、「保育の心理学」の授業の一環として「ふれあい体験」を行いました。このように学科によっては、自身の学びの成果を披露したり、子どもたちと交流しながら学びを深めるなど、多様な活動が行われています。

通常であれば学外に行かないと触れ合うことができない親子に、学内でも触れ合うことができるこういった環境では、日常的に声をかけ合ったり、手を振ったりすることで、学生と親子との関係が持続的に築かれている様子が見られています。

私たちは、将来子どもに関わる仕事に就くことを目指す学生たちにとってこのような経験は非常に貴重であると感じていますし、親子の姿は、対人援助の専門職を目指す学生たちの夢や目標を常に奮い立たせてくれているように思います。

教員と保育士の役割と支援の効果

–ぶんぶんひろばでの活動には、学生の他に大学の教員と保育士が関与されているかと思いますが、提供するサポートや指導について教えていただけますか?

施設内の玩具や絵本の選定や配置については、教員と保育士が共同で検討しています。

また、ぶんぶんひろばは定期的な集いの場であり、保護者は日常的に気軽に保育士に育児上の悩みを相談することができますが、寄せられる相談の中には時折、難しい判断や対応が求められる場面もあります。こうした時、常に学内に専門的な知識を持った教員がいることは、保育士にとって保護者の相談に自信を持って親身に対応することができますし、保護者にとっては必要に応じて大学・短期大学の教員に繋いでもらえるという点が安心感に繋がっているのではないでしょうか。

ぶんぶんひろばの行事と展望

–ぶんぶんひろばの行事について、具体的にどんなものがありますか?

ぶんぶんひろばでは、通常開放や学生の授業の一環での利用以外にも、行事として「子どものための音楽会」や「公開リレー講座」を開催しています。

「子どものための音楽会」は、「演奏活動I・Ⅱ」の授業を履修している学生による演奏会で、乳幼児期のお子さんを持つ保護者にとって、子育て中の慌ただしい日常を癒すひとときとなり、また、文化的な世界を味わう貴重な機会ともなっております。子供たちにとっても、リズムに合わせて遊ぶ楽しみや、音楽の音色を感じる心地よさといった要素が、情緒を育む大切な時間となっています。

「公開リレー講座」では、子ども・子育て支援研究センターの運営委員を務める教員たちが、それぞれの専門分野を生かして講座を提供しており、これまでにはパーソナルカラーを取り入れた子どもにも親しみやすい洋服の選び方や心理学に基づいた年齢に合わせた絵本の選び方や心の子育てと絵本の読み聞かせの楽しさについてなど、子育てに関するさまざまな知識の提供を行ってまいりました。

こうした公開リレー講座は「子どもから離れて自分のことを考えられる貴重な時間だった」、「絵本について理解を深めるきっかけとなった」など、保護者からも高い評価を受けております。こうした行事を開催できることも大学内に設けられた子育て支援施設の醍醐味であると、私たちは認識しております。今後も、子供たちとその家族が心豊かな時間を共有できるよう、努力と熱意を持って取り組んで参ります。

最後に

子育て支援の場に積極的に参加することは、学生の学びへのモチベーションを維持するだけでなく、実践力の向上にも繋がります。小さなお子さんたちや保護者の方々と交流する機会は、学生にとって非常に意義深いものであり、その中で多くのことを学びます。

保護者の方々は、保育士スタッフだけでなく、さまざまな学生と交流することで、自身の子育て経験について語る機会を持ち、また、他の学生が自分の子どもに愛情をもって接してくれる姿を目にすることで、自身の育児が認められていると感じ、とても前向きな気持ちになることができます。このような活動を通じて、本学は地域社会への貢献を果たしていると自負しており、地域に根付いた存在として、ますます広く浸透していくことを目指しています。地域の皆様にとって必要不可欠な存在となり、信頼される大学・短期大学であり続けるために、私たちは一層努力を重ねてまいります。