
SDGs 大学プロジェクト × SOKA Univ. -Part 3-
創価大学は、建学の精神のもと、SDGs実現への積極的な寄与に取り組んでいる大学です。今回は、企画部企画広報課の花阪大輝様に、全学的なSDGs施策について話を伺いました。
本記事では、本学の中長期計画である「Soka University Grand Design 2021-2030」を推進するための単年度アクションプラン「学長ヴィジョン」に沿って、具体的な取り組みを前後編で紹介します。
創価大学の紹介

創価大学は、1971年に東京都八王子市で開学した私立大学です。本学は、「人間教育の最高学府たれ」「新しき大文化建設の揺籃たれ」「人類の平和を守るフォートレス(要塞)たれ」という3つの建学の精神のもと、地球社会の課題と向き合い、平和の実現に挑戦する「世界市民」の育成に取り組んできました。
『世界市民』とは、あらゆる生命がつながり支え合っていることを認識する知恵、多様性を受け入れる勇気、そして世界の人々と痛みを分かち合い共感できる慈悲の心を持ち合わせ、社会が求める価値を世界に向けて創造できる人材のことです。そのような人材の育成に向けて、知識基盤と実践的能力、そして創造的思考力の養成に努めています。
現在の学部は8学部10学科が設置されています。2026年4月には「経済経営学部 ビジネス学科(仮称)」「理工学部 グリーンテクノロジー学科(仮称)」「理工学部 生命理工学科(仮称)」(※)の開設を目指し、準備を進めています。学部生、大学院生を含めた約6,500名の学生が、本学で学んでいます。
(※)設置計画は予定であり、内容は変更となる可能性があります。
前編では、本学がSDGsに取り組む背景や全学的なSDGs施策について紹介しました。本記事では、直近の活動トピックスや具体的なSDGs施策の成果、今後の展望について紹介します。
▼ 前編記事はこちら SDGs 大学プロジェクト × SOKA Univ. -Part 2-
直近の活動トピックス
全学SDGsプロジェクトの推進とSDGs目標達成に貢献する人材の育成
SDGsグッドプラクティス
2022年度に開催された第1回SDGsグッドプラクティスでは、以下のアイデアが入賞しました。
【 タイプA 】
最優秀賞:地球に優しいアイテムの販売を通して海洋ゴミ削減を目指す
優秀賞:「ふくのきもちプロジェクト」
努力賞:『ピリカ』を活用したゴミ拾い活動についての発表
【 タイプB 】
最優秀賞:創価大学におけるファーストジェネレーション支援
タイプAで最優秀賞を受賞したのは、地球にやさしいアイテムの制作や販売を通して、海洋ごみの削減を目指すソーシャルビジネスです。経営学部の大束さんが、本学で学びながら仲間とともに設立したRanchuでは、海洋プラスチックを再利用したアクセサリーや、植物由来の原料で作られたスマートフォンケースなどの開発・販売を行うほか、海洋ごみ問題への理解を深める海や河川のクリーンアップ活動を企画・実施しています。
タイプBで最優秀賞を受賞したのは、親やきょうだいに四年制大学卒業者がいない大学生「ファーストジェネレーション(第一世代大学生)」の支援を目指すプロジェクトです。ファーストジェネレーションの1人である国際教養学部の村瀬さんが同じ立場の学生の支援をめざすプロジェクトチームを立ち上げ、さまざまな支援策をプロジェクト目標として提示しました。具体的には、学内での認知度の向上や当事者のコミュニティ形成、本学でのファーストジェネレーション奨学金の創設などです。
受賞後は、支給された助成金を活用し、2023年10月に九州大学男女共同参画推進室の河野銀子先生を講師に迎えて、ファーストジェネレーションへの理解を深める講演会を開催しました。学内外より参加者を招き、現状と課題、必要な支援を広く周知する有意義な機会となりました。
▼ 詳しくはこちら 第1回「創価大学SDGsグッドプラクティス」最優秀賞受賞 ~ソーシャルビジネスで海洋ごみ問題の解決を目指す(Thinkキャンパス) 「ファーストジェネレーション」の支援と認知度向上をめざして(創大Days)
キャリア支援イベント「Design Your Dreams」&SDGsを開催
2023年10月に、本学では1・2年生のキャリア支援を目的に「Design Your Dreams」&SDGsが開催され、500名以上の学生が参加しました。同イベントは、1・2年生のキャリア支援を行う学生グループ「キャリアサポートスタッフ(通称:CSS)」が後輩のために、社会で活躍する卒業生との懇談の場を提供しています。
当日は、国際機関・教員・公務員・民間企業などで働く26名の卒業生が母校に戻り、業界の特徴や仕事紹介、自身のキャリア選択や当時の大学生活について話しました。また、SDGsに関心のある学生が、キャリアや仕事と社会課題を結びつけて将来を考えられるように、SDGs達成に向けた各職場での取り組みの紹介も今回から新たに加わりました。
▼ 詳しくはこちら キャリア支援イベント「Design Your Dreams」&SDGsが開催されました (soka.ac.jp)
対話・ネットワーキング会合
第3回目となった2023年12月の回では、2050年の脱炭素化を目指し、創大キャンパスの脱炭素に貢献しうる研究や活動の発表を中心に行いました。加えて、「創大キャンパスの脱炭素化に向けて:2050年に向けた削減シナリオ案」についての発表を行い、パリ協定の目標、日本政府及び東京都が掲げる「2050年にカーボンニュートラルを目指す」という目標を念頭に、本学も、教育や研究、地域連携を通じて、どのように温室効果ガスを削減していくべきかについても意見交換を行いました。
▼ 詳しくはこちら 2023年度「SDGs達成に向けた実践者と学生・教員の対話・ネットワーキング会合」(創大キャンパスの脱炭素化に向けて)を開催しました (soka.ac.jp)
オープンキャンパス特別イベント

本学は、2022年度から探究型オープンキャンパスを行っています。本イベントは、SDGsや国際協力に興味がある高校1・2年生を対象に、国際協力につながる進路を拓くためには、大学でどのような学びを深めていけば良いのか(通称“推し学”)、グループワークを通して探究する事前申込制のプログラムです。
2023年8月のイベントは初めてオンラインで開催され、北海道、愛媛県、兵庫県、大阪府など関東圏以外に在住の高校1・2年生にも参加いただくことができました。2023年度から、各グループにラーニングファシリテーターとして卒業生が参加しており、コミュニケーションを活発に行いながら、高校生と卒業生のつながりを形成できたイベントとなりました。
▼ 詳しくはこちら 「国際協力につながる大学での学びとは?」をオンラインで開催しました (soka.ac.jp)
重点研究の推進と国際競争力の強化
重点研究推進プロジェクト
2023年度に採択された重点研究の一つである、理工学部井田旬一教授の研究は、「嫌気性微生物と導電性担体のゲルへの同時固定化によるメタン発酵高効率化」という課題で進められ、2023年6月から2024年3月までの期間に、嫌気性微生物と導電性担体をゲルに共固定化する手法を確立しました。それにより、メタン発酵速度を約3倍向上させることに成功し、その他教員の研究推進に貢献しました。
▼ 詳しくはこちら 井田 旬一 教授 | 共生創造理工学科 | 創価大学 理工学部 (soka.ac.jp)
キャンパス運営におけるSDGs主流化・エネルギー計画の策定
カーボンニュートラル達成に向けたロードマップの作成
本学は、2021年に「学校法人創価大学気候非常事態宣言」を発出し、全教職員、学生が一丸となって気候危機に立ち向かい、カーボンニュートラルの実現を目指して取り組みを推進しています。その取り組みの一環として、今般、2050年カーボンニュートラル達成に向けたロードマップを作成しました。
また、2030年度を中間目標年度に設定し、2015年度比で温室効果ガス50%の削減を目指すため、「省エネルギー」と「創エネルギー」に関する施策、グリーン電力への切り替えを実施していきます。2031年度以降に関しては外部環境の進展を踏まえ、自主的取り組みを強化し、カーボンニュートラル達成の前倒しを図ります。今後も、ロードマップの更なる具現化を、専門家や国・地域・大学などの関係機関と引き続き連携して行い、気候危機対策を着実に実行していく予定です。
▼ 詳しくはこちら 2050年カーボンニュートラル達成に向けたロードマップ (soka.ac.jp)
SDGs施策の成果
ゼミナール活動
理工学部 丸田ゼミ


丸田ゼミでは、八王子市内で生産される酒米を利用した吟醸酒の製造過程で発生する大量の副産物・米粉が廃棄されていることに着目し、米粉をバイオマスとして有効活用する研究等を行っています。
2023年12月に開催された「第15回大学コンソーシアム八王子学生発表会」では、「八王子市長へ直接提案部門」にて、丸田ゼミの提案「八王子産米粉バイオマスプラスチックを利用した八王子市ゴミ袋の提案」が最優秀賞を受賞しました。
▼ 詳しくはこちら 「第15回大学コンソーシアム八王子学生発表会の『八王子市長へ直接提案部門』」で、理工学部の丸田晋策ゼミが最優秀賞を受賞など (soka.ac.jp)
経営学部 野村ゼミ
野村ゼミでは、企業評価と環境問題をテーマに、衣料品のアップサイクルという実践的なプロジェクトを行っています。2024年3月に開催したオープンキャンパスでは、経営学部野村ゼミの学生が、本学アドミッションズセンターと連携、サステナブル商品を提供するオールユアーズと協働しながら、廃棄衣料品を利活用した「アップサイクルハンカチ」を製作し、参加者に配布しました。
▼ 詳しくはこちら SDGs 大学プロジェクト × SOKA Univ. -Part 4-
経済学部 掛川ゼミ

掛川ゼミでは、「持続可能な社会を目指した経済学」をテーマに、環境経済学や開発経済学を研究しています。2023年度には、八王子市内のCO2排出量削減への貢献を主な目的として、「八王子市のシェアサイクル利用促進に向けて」と題した施策提言を約1年かけて取りまとめ、市の担当部署に発表・提案を行いました。
同ゼミの提言を受け、市とシェアサイクルの実証実験を行うOpenStreet株式会社が本学に対してシェアサイクルの導入を提案。2023年10月の本学の全学協議会で、導入が正式に決定しました。
▼ 詳しくはこちら 八王子市への学生の施策提言により、創価大学にシェアサイクル導入が実現 ―本年4月26日から地域住民を含めた利用者へのサービスを開始―
今後の展望
(仮称)国際協力・外交人材育成センターの開設と人材ロスター制度の構築
SDGs・国際協力分野で貢献する人材の育成と、専門家・実務家の方とのネットワーク構築に向けて、「(仮称)国際協力・外交人材育成センター」の設置を検討しています。
また、さまざまな分野における外部の専門家の方々に、アドバイザーとして当センターの人材育成に参画いただく「人材ロスター制度」の設置も合わせて検討しています。このような制度を整えることで、SDGs達成や国際協力分野における人材育成により一層注力していく予定です。
2050年カーボンニュートラル達成
2050年カーボンニュートラル達成に向けたロードマップに基づき、省エネ・再エネの調達・創エネなど、より具体的な実行計画を策定していきます。