
社会貢献活動 × Business Breakthrough Univ.
ビジネス・ブレークスルー大学では、SDGsやキャリア教育、生徒の興味・強みを活かすといった様々なテーマで全国の高校を対象に出張授業を開催しています。
今回はその中でも、冨岡武准教授が担当されている出張授業「問題を「自分ゴト」として解決する! ~答えのない時代の生きる力を届ける総合的な探究の時間 ~」について、冨岡武准教授、上村洸貴教諭、畑紗羅さんの3名に対談形式でお話を伺いました。
目次
学校紹介
ここではビジネス・ブレークスルー大学、長崎県立長崎北高等学校の特徴を紹介をいたします。
ビジネス・ブレークスルー大学(BBT大学)の紹介
ビジネス・ブレークスルー大学(以下「BBT大学」という)は、2010年4月に設置された、100%オンラインで経営学の学士を取得できる日本唯一の大学です。
東京都千代田区に麹町校舎がありますが、「インターネット大学に関する特区」を活用した「100%オンラインによる大学」のためキャンパスへのスクーリングは必要がなく、忙しい社会人や海外在住の方でも学ぶことができます。実際に仕事をしながら学んでいる学生、すなわち学生の社会人比率は約7割となっており、仕事との両立も可能です。
BBT大学のキャンパスは「エアキャンパス(遠隔教育システム)」と呼ばれ、パソコン、タブレット、モバイルなどの端末とインターネット環境さえあれば、自宅からでも、近所のカフェからでも、さらには海外からでも、どこからでも受講が可能な遠隔型学習環境統合システムです。
日本の教育の最大の問題は、暗記した数の多さで能力をはかる「知識偏重型」に依存してきたことだと考えています。答えのない状況に放り込まれたときに大きな困難を感じる人が量産されてきましたが、BBT大学は、このような日本の教育の在り方に一石を投じ、得た知識をもとに論理的に考え実証していく力を持つ人材、現状を突き破り前例を超え、新しい価値を生み出す人材を育成する機関として、21世紀の教育の在り方を刷新していくことを目指しています。
BBT大学には、経営学部グローバル経営学科と同学部デジタルビジネスデザイン学科の1学部2学科がありますが、「経営」「IT」「英語」をBBT大学の三種の神器とし、ITを学ぶ人も経営が分かり、経営をやる人もITの最先端の技術を理解しつつ、答えのない21世紀の世界において、答えのない問題に対して自らが問題を解決していける力を4年間で徹底的に学べるような仕組みを構築しております。
BBT大学での4年間の学びを経て、世界に羽ばたいていく卒業生が生まれ、世界を舞台に新しい事業を創出し、結果を出せる人材の育成を目的としておりますので、特に高校生をはじめ、若い世代の皆さんには、未来を創る起業家・イノベーターとして、是非BBT大学に興味を持っていただけたら幸いです。
長崎県立長崎北高等学校の紹介
長崎北高等学校は、長崎市内に所在する生徒数約700人の県立高校(普通科)です。
「両道顕揚(※1)」を校是(※2)に掲げ、勉強と部活動にみならず、学校生活の様々な場面を通じて他者に対する思いやりと感謝の気持ちを持って、社会に貢献できる人材の育成を目指しています。
グラデュエーション・ポリシー(長崎北高等学校が送りだしたい生徒像)として、
- 社会に関心を持ち、主体的に学び続け、考え、行動する生徒
- 自他を認め合い、互いの可能性を高め合いながら粘り強く努力する生徒
- 現状を打破するために、協働して新しい価値あるものを創造する生徒
を掲げる中で、生徒一人ひとりの個性を大切に、将来の自分を見つけて次のステップへの一歩を踏み出してもらいたいと存じます。
また、長崎北高等学校では「持続可能な『ふるさと長崎』の共創」をテーマに、従来の教育活動にSDGsの視点を取り入れながら、持続可能な「ふるさと長崎」の在り方を幅広く考察し、地域の協力や支援のもとで「ふるさと長崎」の抱える課題に積極的に挑む主体性と郷土への愛着と誇りを育てていくための「ふるさと教育」にも力を注いでおります。
(※1)両道顕揚…「両道」とは、勉強と部活動の両立という意味だけでなく、「学識と社会性」や「体育活動と文化活動」など広い意味の両立の意味を含んでおり、「顕揚」とは、それを目標として明らかに示し、高くかかげて努力するということ。
(※2)校是(こうぜ)…学校設立の根本精神を短い言葉で表したもの。
学歴偏重・偏差値教育により問題解決能力の低い社会人が多いと言われることについての見解
(BBT大学:冨岡武准教授)私自身が高校生時代、このような問題解決の考え方について学んでいたら、もっと違う行動やチャレンジができたのではないかとの思いがあります。そういう意味では問題解決の講義や出張授業を通して、過去の自分自身へメッセージを送っているという感じがしています。
問題解決の苦手な人が増えてきているのかということに関しては、まず何よりも義務教育をはじめ、高校、大学でも問題解決の考え方についてのフレームのようなものをほとんど習っておらず、社会人になって、会社の中でその都度問題に直面した際、何となく見よう見まねで学んでいく人が多いのが現状だと思います。
したがって、問題解決能力の低い人が特段増えているという印象よりも、問題解決に至るまでの過程において、答えを早く知りたい、つまり、間違えて遠回りするようなことなく、最短距離で問題を解決したいという思考を持っている生徒、若い世代が増えてきているのではないかと感じています。
(長崎北高校:上村洸貴教諭)私が教えている高校の現場でも、冨岡先生がおっしゃるような高校生は少なからずいると思います。
また、偏差値至上主義から脱却できずにいるということについては、そういう生徒が増えているというよりも、文科省の学習指導要領が「問題解決能力」にフォーカスした結果、その部分ができていないという課題感が昨今の世の中に広まったものだと考えています。
そういった動向を踏まえて、日本の教育が見直されつつある中、本校としても何か対策を考えないといけないということで、BBT大学さんなど、学校外のリソースを活用することに至ったわけです。
BBT大学が長崎北高校で出張授業を実施することとなった経緯
(BBT大学:畑紗羅さん)2022年度より「総合的な探究の時間」が導入されたことを受け、「答えのないことに向き合う」という点で、本学として高校生の役に立てることがあるのではないかと考えたことから、全国の高等学校向けに無料で出張授業を実施することにしました。
また、高校の先生にヒアリングをしてみると、考えるときのフレームワーク(枠組み・テンプレート)を適切に把握できておらず、教えきれない部分があるという悩みを聞くことが多くありました。高校様ごとに取り組まれる様々なトピックに適応できるよう「考え方」によりフォーカスした講座を考えた際、BBT大学の講義の中で、若い学生にも人気のある冨岡先生の「問題解決基礎」をベースになにかできるかもしれないと思い当たりました。こうして、「問題を「自分ゴト」として解決する! ~答えのない時代の生きる力を届ける総合的な探究の時間 ~」という題目で、冨岡先生に特別出張授業を行ってもらうことになりました。
BBT大学で学んでいる学生のほとんどが社会人(社会人約7割、平均年齢30歳)で占められていますが、若い世代にも入学してもらい、様々な世代が集まってお互いを刺激し合えるコミュニティとしての大学を目指しています。
(BBT大学:冨岡武准教授)私の問題解決の授業は、経営をはじめとしたビジネスの場面だけでなく、日常生活や人生における難しい局面に遭遇した場合にも活用できるものをテーマとしています。
もともとはコンサルティング会社で扱っていた内容を企業向けの研修として行い、さらに社会人の割合が多いBBT大学の学生向けに展開していくという流れの中で、将来的にはさらに若い層である高校や中学校で授業を行ってみたいという思いがありました。今回、畑さんから声をかけていただいたので、これは大きなチャンスだと思い長崎北高校さんでの出張授業を引き受けました。
(長崎北高校:上村洸貴教諭)今回の出張授業を受ける対象は2年生になりますが、今の2年生が1年生のとき、つまり令和4年度に行った「総合的な探究の時間」(つがのきたいむ(※3))において、長崎県庁や企業との協働によって、地域の課題解決やSDGsについての考察などの取り組み行いましたが、結局、多くの生徒がネットによる調べ学習の域を脱することができず、生徒も私たちも課題感を持っている状況にありました。
そのような中で探究の形を索していたところ、BBT大学さんより出張授業に関するFAXを頂戴し、そのFAXのタイトルや中身を拝見すると、まさに私たちが求めていたものであったこととそさらにの出張授業をBBT大学さんが無料で実施して下さるということで、申し込んだ次第です。
(※3)つがのきたいむ…長崎北高校における「総合的な探究の時間」の名称。「つがの木は、長崎北高校の校歌にも登場する長崎北高校のシンボルツリーである。
長崎北高校で実施した出張授業の内容
問題解決物語(問題を2軸で捉える)
(長崎北高校:上村洸貴教諭)出張授業は、5月〜7月に月1回の全3回で実施して頂きました。中身は問題解決を行うに当たってのフレームワークや考え方などのメソッド(方法・順序)を身近な実体験をもとに、紐解いていくという内容になります。
(BBT大学:冨岡武准教授)出張授業では、まず問題解決は特別なことではなく、これまでもやってきているよ、ということを実感してもらいたくて、自分の過去の経験について問題解決の5つのきっかけ(物語)に当てはめて考えてもらいました。その後で、問題解決で役に立つスキルのミニゲームを通して、問題解決に取り組む楽しさを実感してもらいました。最後は、英語と体育の授業をテーマにすべての生徒にとって授業がもっと楽しくなる解決策アイデアを考える体験ワークを実施しました。
出張授業を実施してみた感想
(BBT大学:冨岡武准教授)私自身、非常に楽しみながら、2年生240人の前で出張授業をさせていただきました。
授業をする前段は、「問題解決」という言葉に対して生徒達が難しく感じたり、堅いテーマに思ったりしてしまい身構えてしまうのではないかという懸念がありましたが、実際に授業を行ってみると、前向きに楽しみながら自分事として考えて取り組んでくれたのではないかと感じています。
授業の振り返りとして、毎回感想を自分の言葉で紙に書いて提出してもらいました。皆さん結構びっしりと書いてくれていたので、私も興味を持って240人全員分を読ませていただき、高校生がどんなことを問題として捉えているのかをカテゴリーに分けて分析してみました。そこからは高校生が本当に様々なテーマ(悩んでいること、挑戦したいことなど)で「問題解決」に取り組んでみたいという思いが伝わってきました。
また、地方の進学校であるということもあってか、「可愛い」という言い方はおかしいかもしれませんが、皆さんとてもピュアな印象を持ちました。斜に構えずに真っすぐに受け止めて、実践してみようという姿勢が伝わってきました。
(長崎北高校:上村洸貴教諭)冨岡先生が教えてくださった内容は非常に汎用性のあるものでした。今後は地域の課題解決を行っていくというフェーズ(段階)にあり、現在、生徒は具体的な課題設定を行っているところです。また、冨岡先生から配布された資料を生徒達が今でも見直して、探究活動に取り組む様子を見ると、生徒にとっても学びの多い講義だったんだろうと実感しています。
また、当初は予想しなかった副次的な効果として感じているのが教員の意識の変化です。
「探究学習」を進めていく上で難しいことの1つとして、いかに他の教員を巻き込んでいくかということがありました。冨岡先生の出張授業を拝見してから、他の教員の発言内容であったり、現在行っている探究学習のゼミ別の指導において、教員自身も「探究」や「問題解決」に対してポジティブに考えるようなり、積極的に関わりをもってくれるようになったと感じています。
探究学習の意義と重要性
(BBT大学:冨岡武准教授)「探究学習」は、教育課程の基準が定められている文科省の「学習指導要領」によって、小学校、中学校、高等学校、それぞれで「総合的な探究の時間」として新しく導入されたものです。
一方、大学では「探究学習」という言葉が特にあるわけではありません。ただし、BBT大学で教えている問題解決の考え方の基本は「探究学習」に近いものがあります。
私自身、振り返ってみると、幼稚園、小学校、中学校、高等学校と効率良く正解を見つけ出したいという思いが強くなっていきました。「親」「先生」「テスト」「受験」など、誰かにずっと問題を与えられ続けてきて、その問題には正解も決まっていて、他人よりも早く正確にたどり着こうとする意識、「誰かの正解を読む」脳の思考回路が無自覚のうちに強化されてしまったように思います。
ところが、会社に入ってみると、正解がない、正解がわからない仕事をすることが当たり前であって、これまでの思考をリセットせざるを得ない現実に直面しました。
今のように若い年齢から「探究学習」を受けられるということは、無自覚に強化された「答えを読む」思考回路をリセットし、自分で「答えを創る」思考回路へと作り替えていくリハビリ機会として大きな意味を持っていると思います。
(長崎北高校:上村洸貴教諭)「探究学習」の意義についてですが、大きく分けて2つあると考えます。一つは生徒にとっての従びの意味が広がることです。従来多くの生徒にとって勉強は大学入試のためという非常に近視眼的なものでした。しかし、そこに「探究学習」が導入されたことで、実は大学入試のために行っていた勉強が、社会課題を解決するためのツールにもなり得るんだと気づきを促すことになるのではないかと感じています。
また、従来は偏差値や認知能力などの数値で測ることのできる能力がフォーカスされる世の中であったと思いますが、探究学習の導入によって、偏差値に代表される認知能力だけではなく、数値では図りにくい非認知能力がフォーカスされるようになってくるのではないかと考えています。具体的には、グループ内でのリーダーシップやフォロワーシップであったり、自分自身を客観視するメタ認知など、そういった目には見えない学力を高める上で「探究学習」は有用な役目を持っているのではないかと思います。
(BBT大学:畑紗羅さん)今の時代、インターネットが普及し、SNSが日常になっており、年齢に関係なく様々なことができる時代になりました。
一方で、「失敗したくない」「最短距離で答えを得たい」という考え方に流されてしまうことは、社会全体のポテンシャルとして非常にもったいない感じがしています。そのような状況を打破するために「探究学習」の機会は大変有意義だと考えています。
高等学校への出張授業やBBT大学のカリキュラムを通じて、生徒の皆さんには、個々の可能性に気づき、将来の進路やキャリア、人生設計について、主体的に捉えてほしいと考えています。また、そういう思いのある人には、是非BBT大学に入って学んで欲しいです。
探究学習を楽しく実施するために工夫したこと
問題解決入門ワークショップ
(BBT大学:冨岡武准教授)まず、私と私の授業に対して、生徒達に信頼と興味を持ってもらう必要があると考えました。
「大学の先生の授業なので難しそうだし、自分には関係ない、緊張しそうだ」というようなイメージを払拭するため、私自身の高校生時代の話、具体的には「失恋した話」や「病気になったときの話」「夢に挑戦したけど挫折した話」などを自己紹介に組み込みました。
こういう誰もが経験するようなことを話す中で、実はそのこと自体が「問題解決」であり、誰もが日常生活の中で小さな問題解決をやってきたという認識を持ってもらうようにしました。
さらに、生徒同士でペアになってもらい、お互いのこれまでの問題解決経験をインタビューし合ってもらうことで、問題解決がより自分事に重なってきて、興味が湧いてくるような工夫を心がけました。
やはり、先生の話を一方的に聞くよりも、生徒が自分自身のことをたくさん話す方がその時間は楽しくなってきます。また、自分と同じような経験であっても自分とは違う考え方があることに気づくことで、学びの楽しさはさらに大きくなっていきます。
その際、「実はこうするのが正しい」という正解を最後に示すことは絶対にしないことが重要です。
また、私が「教育」に関わる中で大切にしていることの1つが、「期待するのではなく、応援する」ということです先生方をはじめ、大人はついつい良い結果を期待してしまいますが、期待は裏切られることで怒りに変わってくるということに気づく必要があります。
大切にしていることのもう1つは、「待つ」ということです。授業で学んだことをすぐにアウトプットできる生徒もいる一方で、10年経ってから不意に思い出して花開く生徒だっているかもしれません。
探究学習の授業では、すべての生徒を否定することなく、生徒の多様な考え方や感じ方を楽しむ姿勢が教える側の先生にも求められるのではないかと思います。
私はコンサルタントでありつつ、ファシリテーター(※4)という仕事も行っています。コンサルティング会社に勤めていた当初は、お金をいただいて解決策を提案する仕事にプロ意識を持って取り組んでいました。
しかし、このやり方はたとえるなら「子どもの宿題を親が代行している」ようなものであって、答えは簡単に得られますが、答えだけをもらっても実際に実行するかといえば、やらないんです。結局、自分で考えるプロセスを省くと、自分事として捉えてもらえないということを経験してきました。
そこで、「大事なことは自分達で考えてみましょう」と関わり方を変えようと考え、出会ったのが「ファシリテーション」という概念です。そのことに気づいたのが、今から20年ほど前です。気づく前後で私の役割が180度変わりました。
すなわち、考えることを代行しては絶対にダメで、相手が自分達で考え、自分達で答えを創って実行するところまでのプロセスをお手伝いに徹するわけです。
先生という立場では、基本的な知識をインプットしてもらうために答えを教えないといけない場面ももちろんありますが、こと「探究学習」においてはファシリテーターとしての役割にあることを意識することが何よりも求められているのではないかと感じています。
(長崎北高校:上村洸貴教諭)教員は授業などで正解を教えることを仕事としていることから、とかく正解を教えがちになってしまいますが、その気持ちをグッと我慢して、生徒に干渉し過ぎず、いかに黒子に徹することができるかだと思います。
生徒の伴走者であるべきだという姿勢が、私自身の自戒の念も込めて、大切であると思っています。
(※4)ファシリテーター… 会議や商談などの場で参加者の発言を促したり、話をまとめたりすることで、話し合いをより良いゴールに導く人、参加者による課題解決を促進する働き担う人
探究学習を経て自分自身で問題解決をできる人が増えることで地域や社会がどう変わる
(BBT大学:冨岡武准教授)今回の出張授業では、「問題解決」を教えるというところからではなく、今までの日常生活において、実は小さい部分や細かい場面で気づかないうちに問題に直面し、その都度解決のための行動をとっていたことに気づいてもらうとともに、難しいことに直面した場合、正面から向き合えることに一番の価値を見いだしてもらいたいと思っていました。
つまり、難しいことに直面したときに向き合えるということが1つの武器だと考えています。
まずは、自分事に向き合い、一歩踏み出して挑戦できるようになって、さらに周囲にも目を配っていけるようになり、家族や学校などのコミュニティをはじめ、社会に出てからは、会社の同僚や地域の人々、趣味の仲間などの間で、困難な問題にぶつかった際にも解決できるようになっていけるものだと思います。
結局、自分事で難しいことにも向き合える人が増えることによって、自分以外の周囲の人を助けていく勇気の持てる人が増えていくことで、結果として、地域や社会の課題を解決できる人が増えていくのではないかと考えます。
(長崎北高校:上村洸貴教諭)学校という枠で考えた場合、よく聞くのが「学校って、独自のルールや常識があって、すごく閉鎖的な環境ですよね」という言葉です。
「探究学習」をきっかけとして、官公庁や企業と協働で取り組んだり、BBT大学をはじめとする大学とつながりを持てることで、より良い教育の提供を考えていけるようになったことは、1つのメリットだと思います。
その上で、「問題解決」というところに到達できなかったとしても、その前段としての課題を見つけたり、創ったりすることで、世の中のことについて、当事者意識を持った生徒が増えていくだろうと考えています。
特に、長崎県のような地方都市で地域課題が山積するような場所にあっては、学校教育の段階で「問題解決」に対する感度を高めていくことは重要だと思っています。
(BBT大学:畑紗羅さん)「探究学習」を実施することで様々な考え方に触れるとともに、生徒の皆さんが自分自身を改めて見つめ、個々の考えや能力について向き合い、個性を見いだすことで、将来について前向きにとらえることが可能となり、結果として自己効力感が醸成され、ひいては社会課題の解決につながっていくのではないかと思います。
今後の活動と展望
(長崎北高校:上村洸貴教諭)半年間の出張授業が終了した段階にありますが、これまでインプットしたものをこれからアウトプットするということになります。
具体的には、冨岡先生の出張授業で学んだ、フレームワークや課題解決の手法を使いながら、生徒自身が課題を設定して解決に向けて取り組んでいくことになります。
昨年、すなわち、BBT大学さんの出張授業を実施する以前の「探究学習」の授業は、インターネット上での調べ学習で終わってしまいましたが、今回は、現地・現物を重視し、生徒が実際に足を運び、触れることで失敗もするという経験も重ね、何らかのアウトプットにつなげてくれればと考えています。
(BBT大学:畑紗羅さん)長崎北高校さんでの出張授業をベースとした生徒さんのアウトプット等の今後の活動を注視しつつ、来年度以降もお役に立てることがあれば継続して協力させていただければと考えています。
なお、全般的な取り組みとしては、高等学校向けの出張授業を継続していくとともに、オンラインの課外活動ということで、課外でも自由に「探究学習」ができるような仕組みも作っていきたいと思っております。
(BBT大学:冨岡武准教授)今回、長崎北高校の生徒の皆さんを前に授業を行うに当たり、楽しんでもらえる工夫として、特に学びのプロセスを重要視しました。つまり、正解のないことについて自分自身で考え、さらにみんなで考えるというプロセス自体が楽しいという経験のできる場作りを心がけました。今後もチャンスがあれば、いろいろな高校でお手伝いができればと考えています。