SDGs 大学プロジェクト × Kobe International Univ.

神戸国際大学の紹介

神戸国際大学は経済学部、リハビリテーション学部をもつ神戸市東灘区にある大学です。海の見える国際色豊かなキャンパスで経済・情報・経営・英語・観光・ホテル・ブライダル・理学療法などの分野を学ぶことができます。

神戸国際大学ではすべての学生が、世界の流れが目まぐるしく変わる現代において必要とされる、身の回りや社会での課題を発見しその解決方法を考え実行する「生き抜く力」を身につけるため、キャンパスでの学習だけでなく学外を舞台にした活動も積極的に行っています。

ユニバーサルスポーツ体験ラリーとは

神戸国際大学では、SDGsの目標の一つである「3.すべての人に健康と福祉を」を理念に掲げ、「ユニバーサルスポーツ体験ラリー」というイベントを2022年から開催しています。

ユニバーサルスポーツとは、老若男女や障害の有無、スポーツの得意・不得意を問わず、誰もが参加できるスポーツです。イベントでは来場者がさまざまな種目に親しみながら、ユニバーサルスポーツや障害への理解を深めました。

今回は、2023年のイベント運営に関わったリハビリテーション学部理学療法学科3年生(取材当時)の下村穂乃果さんと島原一華さんにお話を聞きました。

▼神戸国際大学が開催しているユニバーサルスポーツ体験ラリーについてはこちら
ユニバーサルスポーツ体験ラリー 〜すべての人に健康を、誰にでもできるスポーツ体験~

誰にでもできるスポーツ体験を

–ユニバーサルスポーツ体験ラリーとはどのようなイベントなのでしょうか?

下村さん:年齢や性別、障害があるかどうかに関わらず楽しめるユニバーサルスポーツを体験できるイベントです。フライングディスクやボッチャといったおなじみのユニバーサルスポーツ競技に加え、学生が提案する種目の体験ブースもあります。2023年は「卓球バレー」と「簡易ゴールボール」の2種目を提案しました(※)。どの競技もどなたでも参加できるので、子どもから大人までさまざまな参加者の方に楽しんでいただけました。

また、当日の運営も学生が中心となって取り組みました。受付も私たちが担当します。6種目のうち2種目は協賛団体の方に協力していただきましたが、他の4種目はルール説明から参加者のサポートまで学生が主体で進めました。

(※)

①フライングディスク…今回はフライングディスク競技の中でも投擲の正確性を競う「アキュラシー」種目を実施しました。ルールは5メートル先の丸い輪に向かってディスクを投げ、10枚中何枚入ったかを競うものです。

②ボッチャ…白い目標球に向かってボールを投げたり転がしたりして、相手より近づけることを目指す競技です。

③卓球バレー…6人でチームを組み、卓球台とピンポン玉を使ってバレーのようにプレーする競技です。

④簡易ゴールボール…目隠しをした2人の選手が5m離れて立ち、攻撃側は相手の背面にあるゴールに向けて鈴の入ったボールを転がし得点を狙い、守備側は鈴の音だけを頼りにボールの位置を探り得点を阻止します。

–イベントに参加したきっかけをお聞かせください。

島原さん:イベントについて知ったのは、大学の掲示板でお知らせを見たのがきっかけです。前に障害者スポーツを体験する授業を受けて以来興味があったため、参加を決めました。また、中級パラスポーツ指導員の資格を取るために必要な実践活動につなげるという理由もあります。

下村さん:私もユニバーサルスポーツについて知るいい機会だと思ったのと、自分自身がユニバーサルスポーツを体験できる点にも惹かれて参加を決めました。

▼中級パラスポーツ指導員の資格取得プログラムについてはこちら
神戸国際大学による中級パラスポーツ指導員の資格取得に向けた取り組み

–お二人はユニバーサルスポーツは大学に入る前から知っていたのでしょうか?それとも大学に入ってから知りましたか?

下村さん:私は知りませんでした。初めて知ったのは大学を調べる時です。

島原さん:私は中高校生の頃にバスケ部だったので、テレビで車いすバスケは見たことがあって、こうした以前の経験からユニバーサルスポーツについては少し知っていました。

イベントの運営を通して

–参加者の中にはユニバーサルスポーツを知らない人も多かったのではないかと思いますが、イベントを運営する上で大変だったことや苦労したことはありますか?

下村さん:参加者は健常者の方だけではありません。ですので、各ブースでやり方を説明する時などに、障害のある方にもイベントを楽しんでもらえるように伝えるのが大変でした。

島原さん:小さいお子さんも参加していたので、怪我をせず安全に楽しめるように工夫するのが大変でしたが、やりがいもありました。

–一番楽しかったことやうれしかったエピソードは何でしょうか?

島原さん:私は主に車いすバスケを担当していましたが、小さいお子さんは通常のゴールリングだとなかなか届かないため、ゴールの位置が低い簡易的なリングも用意するなどの工夫をしました。その低いリングで一生懸命頑張っている子どもたちの姿がとても印象に残っています。

下村さん:親子で参加してくれた車いすの方がいたのですが、普通のスポーツだとお子さんと楽しむのは難しいそうです。しかし、実際にイベントでユニバーサルスポーツを体験してみて「ユニバーサルスポーツなら一緒に楽しんだり競ったりできるからうれしい」と言ってくださり、イベントをやっていてよかったと思いました。

他にも、去年も来てくれた参加者の方から「この競技は知っている」と反応をもらえたり、初めての方からも「楽しかったからまた参加したい」という感想をいただくことができてうれしかったです。

–イベントを通して自分の中で何か変化はありましたか?

下村さん:学校の授業で習うだけでなく、体験することでより考えが深まっていくことを実感しました。学外でのボランティア活動などでしか学べないことは多いです。ですので、今後もたくさんボランティアに参加して自分自身の学びを深めていき、ユニバーサルスポーツをたくさんの人に伝えていけたらと感じるようになりました。

島原さん:実際に体験しないと分からないことや知ることができなかったことがたくさんありましたね。知識だけを詰め込むのではなく、自身の体験として落とし込むことができる場があれば今後も積極的に参加していきたいです。

–イベントは2023年で2年目の開催だったそうですが、今後も開催の予定はありますか?

下村さん:2024年も開催する予定で、ぜひ参加したいと考えています。たくさんの人にユニバーサルスポーツを楽しみながら知ってもらうのが一番なので、さらに知識を深めつつ、自分自身も楽しみたいですね。参加者との交流ももっと積極的にしていきたいです。

島原さん:私も参加したいと考えています。参加者にとっていい体験になるようなイベントを運営し、それを通して自分もたくさんのことを学びたいですね。

理学療法士を志すきっかけ

–お二人がリハビリテーション学部で勉強しようと思った理由をお聞かせいただけますか?

島原さん:バスケ部の頃に怪我をして理学療法士の先生に診てもらったことがきっかけで、自分も理学療法士になりたいと思うようになりました。

下村さん:私も陸上部だったのですが、怪我をきっかけに理学療法士という存在を知りました。また、祖母が寝たきりの難病なのですが、そのリハビリでも理学療法士の方のお仕事を見る機会がありました。理学療法士がいろいろなところで活躍している姿を見てから気になるようになり、自分でも目指すようになりました。

学びと体験を結びつける大切さ

–お二人とも、スポーツの経験がきっかけの1つになっているんですね。これまで学外での活動やイベントに参加する中で、大学で勉強したことが生かされた瞬間や、逆に勉強したけど難しいと感じたことはありますか?

下村さん:学校で学ぶことも実際に体験することも、障害がある方の生活をより良くするためにどうアプローチしたらいいのかを考えるきっかけになるという点では共通していると思います。

しかし、勉強したけれど難しいとは毎回思いますね。机上での勉強と実際の体験ですと、やはり学べることが違います。授業では骨折のような人体損傷や疾患、脳障害で起こる麻痺などについて勉強しますが、その症状の程度によってできるスポーツは変わってきます。こういったことは実際に患者さんの状態を見ないと想像できません。学外での活動などで障害のある方とじかに接することで、大学で学んだ知識を結びつけることができて理解が深まることは多いです。

島原さん:私もそう思います。今回のイベントでは、授業で習った疾患などの特徴を障害者スポーツに結びつけることができたので、より深く、そして細かく理解することができました。

–最後に、お二人は大学を卒業したらどんなことをしたいですか?

下村さん:私は子どもが好きなので、小児理学療法士に関心を持っています。しかし、理学療法士は高齢者と接することが多く、子ども相手だと分野も変わってきてしまうので、卒業してすぐでなくても、将来的には理学療法の面から子どもと関わる仕事ができたらと考えています。

島原さん:資格を取得したら病院に就職し、理学療法士として患者さんに寄り添っていきたいです。