
SDGs 大学プロジェクト × Meisei Univ.
明星大学の紹介


明星大学は、東京都の日野市にキャンパスを構える私立大学です。
「ワンキャンパスに理工系・人社系・融合系、9学部12学科+学環が集結している総合大学」であり、その特徴を生かした「交わり、広がる」学びを大切にしています。
また、新しい時代のニーズに応えるべく、2023年4月にはデータサイエンス学環を開設しました。「学環」とは「いろいろな学問を環状につなぐ」ことを表しています。データサイエンスを学びの中心に置き、情報学部、理工学部、経済学部の学びを”環状につなぐ(連係協力する)”ことにより、データサイエンスについてより深く、より実践的に学ぶことができる仕組みとなっています。
2023年には明星大学の母体となる明星学苑が創立100周年を迎えました。これを期に、明星大学では「生涯にわたり自律的に学び続け、みなと協働して幸福を生み出していく人の育成」を新たな教育目標に掲げ、領域を超えて、たくさんの人と協働し、人と一緒に価値を生み出す力を育むためのカリキュラムを充実させています。
SDGsに取り組まれたきっかけ
最近では、多くの企業が「SDGs経営」という考え方を取り入れ、持続可能な開発目標(SDGs)を推進しています。また、新型コロナウイルスの影響で、社会的な関心も高まってきました。
しかし、SDGsの本当の意味や取り組み方を理解している人はまだ少なく、SDGsをただ口で言っているだけで実際に行動できてない企業や人もいます。これはSDGsに関する大きな問題です。
そこで、この問題を解決するため、「SDGsポイント」というポイントプログラムの仕組みを作りました。
SDGs施策の内容

「SDGsポイント」とは、学生が実践したSDGsの取り組みを投稿し、経営学部の教員および代表学生による複数人で判断し、認定するとポイントが付与される仕組みです。成果評価型のため、ランキング上位者やおもしろい取り組みをおこなった人を表彰します。
この「SDGsポイント」が、一般社団法人 地球温暖化防止全国ネットが主催する「脱炭素チャレンジカップ2022」にて、視聴者投票上位 2団体に贈られる「マクドナルドオーディエンス賞」を受賞しました。なお、投票結果は、「SDGsポイント」が1位でした。
理工学部の柳川亜季准教授へご紹介した結果、明星SATOYAMAプロジェクトの中に「SDGsポイント」を組み込んでいただけることとなり、2年目が過ぎ、新しい事務局の学生(2名)も加わって今年度3年目の活動がスタートしました。今回、同席している永薗明音と高橋乃愛です。
▼明星SATOYAMAプロジェクトの詳細はこちら 明星SATOYAMAプロジェクト | 明星大学
“ポイント”を思いついたきっかけとは
「ポイント」を思いついたきっかけは、エコポイントやキャッシュレスポイント還元事業など、「ポイント」を利用した取り組みが流行していた時期でした。その流行に触発され、私は「ポイント」に関する執筆や出版の経験もありました。
そのような背景があり、学習管理システム(LMS)と「ポイント」を組み合わせることで、素早く実現できる可能性に気づきました。日本の文化として、人々は「ポイント」が好きな傾向がありますので、その人気を利用してSDGsと絡めたアイデアを考えました。
実現に向けた困難
やはり継続して取り組んでしてくれる人が少ないということですね。
1年目のスタート時には、約150人の学生が参加登録してくれました。しかし、卒業等により3年目の始めは約100人まで減少し、その後に授業や私のゼミで募集して、現在は約140人となっています。その参加登録した学生の中でも継続して取り組んでくれる学生が減ってしまうことが主な問題です。
この問題は非常に深刻であり、新たに参加登録した新入生たちには、SDGsの取り組みをより促す責任があります。彼らがどのように取り組みを活性化させるかが重要な課題だと考えています。
このような状況ではありますが、困難を乗り越えるためには、参加者への魅力的な提案やプログラムの改善、積極的な広報活動などが必要です。また、参加者が持続的に取り組む意義や成果を実感できるような仕組みづくりも重要です。
–継続して取り組んでくれる学生を増やすための試みはありますか?
現在、模索中です。しかし、面白い実験を一昨年に行いました。その実験は、”危機意識”と”目的意識”の違いについて調査するものでした。具体的には、通常の方法で自由に投稿する形式(目的意識)と、授業の課題として提示し SDGsの取り組みをした人に対して投稿を促す形式(危機意識)の2つを比較しました。その実験は、キャリア開発に関連した授業の一環として、別の先生の指導のもとで行われました。
実験では、当初は通常の投稿形式でも多くの人が投稿していましたが、受講生への課題という形式で行った結果、投稿数には約4倍〜5倍の差が生じました。
SDGsに関連するニュースや活動に興味を持ちながらも、”自分ごと”にできないと なかなか継続することは難しいということがわかりました。
–取り組みを広めるために行なっていることは?
各学部の掲示板に情報を掲載し、学習管理システム(LMS)へのリンクをQRコードで提供しています。
それだけでは、盛り返すに至らないと思いますので、興味を持っていただいた大学(創価女子短期大学等)を巻き込めたらと考えています。既にいくつかの大学から打診もあります。

–学生目線でSDGsポイントは、どう映りましたか?
学習管理システム(LMS)では、情報を確認することができましたので、私は登録をしていました。しかし、そのシステムが使いづらいと感じる点や、SDGsという概念が私には遠い世界のものに感じられたため、敬遠しがちでした。
具体的には、操作が複雑だったり、使い方がわかりづらかったりすることがありました。
また、代表学生になって得た”気づき”ですが、自分の身の回りで行っている行動が実はSDGsに繋がっていることを知らなかったりすることも感じました。
例)エコバックの持参や商品棚の手前にある商品を選ぶ「てまえどり」など
–実は、アプリを作られたことがあるとお伺いしました。効果はいかがでしたか?
学生がそのアプリに辿り着くことが少なかったため、効果測定が難しいという側面もありました。また、簡易なアプリでシステム自体も改善が必要であり、「SDGsの取り組みを書いて写真を投稿する」という一連の流れがスムーズに進まないような設計になっていました。
このため、学生がアプリを利用することに対するハードルが高かった可能性があるかもしれません。学生にとって両方を提出するという手続き自体が煩雑であり、SDGsへの関与にとって障壁となってしまった可能性も考えられます。
伸び代は沢山ありますので、学生とともにブラッシュアップができればと考えております。
今後の施策
明星学苑(小学校・中学校・高等学校)という枠組みで入れる仕組みも模索中です。
“SDGsネイティブ”という言葉の通り、高等学校の学生の方が、熱量が高い可能性もありますので、高大連携に向けて考えております。
明星学苑の総合音楽監督に就任される方が、小学生から大学生まで幅広い年齢層の子供たちを指導しているため、今後は連携を図る機会が増加すると期待しています。
事務局の学生の中には、明星高等学校出身の学生もいますので、”人と人とのつながり”を大切にし、更なるSDGsの推進を図れたらと考えております。
高校生へのメッセージ
ぜひ、「SDGs経営」を学びたい方は”明星大学”にいらしてください。
▼取材にご協力いただいた安岡寛道 教授の研究室はこちら 安岡寛道 ‘s Homepage