
SDGs 大学プロジェクト × Hannan Univ.
目次
阪南大学の紹介


阪南大学は、その建学の精神において、有能で有為な人材を育て、真の国際商業人を輩出することを使命としています。我々の教育目的は、教育基本法と学校教育法に基づき、広範な知識と深い専門知識の習得を通じて、知的、道徳的、そして応用的な能力を養い、国際化と情報化が進む現代社会で活躍できる人材を育てることです。
本学は、「学生成長率ナンバーワンの大学」を目指し、そのために「face to face」の教育を大切にしています。私たちは、学生一人一人の成長を全力で支援し、就職に強い大学を目指します。また、私たちは知識の宝庫を活用し、地域社会と国際社会に貢献することを誓っています。
本学は、自由と清新な環境で、チャレンジ精神旺盛な学生を育て、国際的なビジネスパーソンとしてのスキルと洞察を提供します。私たちは、学生一人一人の夢や目標を尊重し、その達成に向けて全面的にサポートします。本学は、明るい未来を築くための場所です。
大阪産野菜のスムージー商品化プロジェクトの概要
(藤野さん)地元である天美商店街、金剛団地、助松団地の地域活性化を目的に、大阪の産品を使用した野菜スムージーの販売を企画し、先日、試食を実施しました。
プロジェクトのきっかけ
(藤野さん)阪南大学の社会連携活動として、天美商店街、金剛団地、助松団地の地域活性化を目指すプロジェクトに取り組んでいます。この地域プロジェクトには、私たちのゼミだけでなく、さまざまな形で他のゼミも参加し、連携を図りながら商品開発やチャレンジショップなどを行っています。
(定藤先生)プロジェクトの背景には、顧客の変化や高齢化、人口減少など、商店街やUR(都市再生機構)の抱える課題があります。大学生の発想をいかしたイベントの企画やマルシェへの出品などを通じて、地域の方と連携しながら、これらの課題解決を図っていきたいと思っています。
阪南大学では以前から天美商店街と連携して子ども向けイベントや商店街のマップ制作に取り組んでいました。これからも、商店街の「記憶」と「記録」という歴史をまとめながら、学生の企画したイベントで、天美商店街の将来を担う子どもたちに商店街での楽しい思い出を持ってもらいたいと思います。
URに関しては、今年度からの取組です。私は経済史が専門ですが、大阪の経済と歴史といった知識と現実の課題を結び付けながら、課題解決に取り組みたいと思っています。このプロジェクトには、資産や生活の質といった面から、本学の金融業界出身の実務家教員である中西先生が参加されています。教員の専門性と学生のアイディアを組み合わせて、地域活性化にお役に立てれば幸いです。
大阪の野菜を選んだ理由
(藤野さん)大阪の野菜を選んだ理由としては、ゼミ生の多くが大阪出身であることや、私たちが知らないことは他に伝えることができないと感じたためです。地元についての理解を深めるきっかけとして、大阪の野菜を選定いたしました。
(定藤先生)地産地消という言葉をよく耳にしますが、地元産の野菜を摂ることによって、その「味」を直接感じることができますよね。これは子どもたちだけでなく、大阪の歴史に興味を持たない人々にも適しています。
地元の野菜を食べてもらうことで、「実は昔から産地なんですよ」という事実を伝えることができます。地域の魅力、歴史を知ってもらうには、「味」というわかりやすく、直感的に受け入れてもらえる材料が最も効果的だと考えます。
スムージーを商品に選んだ理由
(藤野さん)スムージーを選んだ理由は、地元の野菜や特産品を調査し、実際に地元の食材を用いた料理を試作した結果からきています。スムージーを商品に選んだ背景には、子どもから大人まで幅広い層に手軽に楽しんでいただける可能性があるという考えがあります。特産品の中から、スムージーに適した野菜を選定しました。
(定藤先生)今年度スタートしたプロジェクトですが、私自身もナス農家を訪問するなど、学生たちと共に取り組んでいます。学生たちには、何が自分たちに実現可能なのかという観点からアプローチしてもらいました。フードスタンドを運営する場合、衛生許可が必要であり、また時間を要する調理が必要な場合、検査も厳格になります。したがって、手軽に調理でき、衛生面や許可手続きに難しい要素の少ない商品を選ぶよう指導しました。
例えば他のグループでは、キュウリや卵も大阪産で手に入るため、サンドイッチを提供する案も検討されました。カモは実は松原が有名 で、カモ肉とネギを使用したラーメンなども提案されました。藤野さんのグループは試行錯誤を重ねながら、子どもから大人まで幅広い対象層向けの飲み物として、スムージーのを企画しました。
プロジェクトを通して
(定藤先生)社会連携活動は地域の方々からの期待もある重要な取り組みです。そのため、明確な目標と意義を持ち、着実に進めていくことが必要です。私自身は経済と歴史に関する専門知識を持っていますが、歴史と地域活性化は直接的に結びつかない部分もあります。
しかし、こうした社会的な活動を通じて、地元大阪の歴史や魅力を知る機会を提供できればと考えています。地域の皆さんにとって、「地元でこんなものを作っているんだ」という認識を得る機会になると思います。地域の誇り や魅力を育むきっかけになれば幸いです。
(藤野さん)私自身はボランティア、社会貢献といったことが得意ではありませんでした。昨年の松原マルシェでアルバイトとして参加した際に、訪れた方々が楽しんでいる姿を見て、人々が楽しんでくれることの意義を感じました。その経験が、周囲の人々を楽しませることの大切さを私に伝えました。そうした背景から、楽しんでいただけるプロジェクトを創り上げていきたいという意欲が芽生えました。
(藤野さん)急いでプロジェクトを進めたこともあり、一回目の試食の出来は美味しいとは言えず、その後、何度も試行錯誤を重ねることで、お店で提供するレベルの味に仕上げることができました。
プロジェクトで得られるスキルや経験
(定藤先生)コロナ禍で、実際にものに触れる、人に会うことが環境的に少なくなってしまった時期がありました。コロナが収束した今、他人との共感、自分が食べて美味しいと感じたことを、他人と共有することは楽しい、という経験をしてほしいなと思っています。
商品を制作し、それを宣伝する際には、専門知識が求められることを理解することが大切です。単に美味しいと言うだけでなく、栄養価や野菜の歴史などを調査し、知識として持っておくことが、その商品を広める際に役立つこともあります。知識が実際の生活に役立つことを経験として感じ取ってほしいです。
プロジェクトを計画し実行する過程には、時間や労力が必要です。スムージーを作成するに当たって、自発的に取り組む姿勢を持つ藤野さんのような学生ももちろんいますが、「面倒くさい」といったハードルを感じている学生もいます。学生には、それを乗り越える力も必要だと感じます。
学生同士のコミュニケーションはもちろんですが、地域の方々とのコミュニケーションも非常に重要です。地域の方も相手が学生だからこそ素直に意見を言えるところがあると思います。例えば、今回のスムージーの場合、率直な評価を提供してくれたりします。そうした意見に学生はどのように反応するかが大切です。コミュニケーションは将来社会での対人スキルに必要不可欠であり、人間関係を築く能力として重要です。今回のプロジェクトを通じて、自身が計画したことに対する責任感を養い、柔軟な対応力を磨いていただきたいと願っています。
今後の展望
(定藤先生)大阪の地形や気候、歴史学的、地理学的な部分を学んでいきたいです。地形や気候は、地域で生産される産品にも影響を及ぼします。後期には、大阪に限らず、日本各地の気候や歴史とそれに伴う特産品や食文化、歴史を学び、商品開発にいかしていく予定です。より広い視野を持ち、各地域の魅力や地産地消の取り組みにも興味を持つことも大切です。
具体的には、鹿児島県枕崎市のかつお節を用いたポップコーンや、熊本県のラーメン店とのコラボレーション企画が予定されています。それぞれの地域に敬意を持ち、伝統を大切にしながら、ともに発展できるアイディアを出せると良いなと思います。
現在、これまでの工業が主流であった社会から、農業を中心とした地域づくりが注目を集めています。これは、持続可能な開発目標(SDGs)の視点からも意義深い取り組みです。農業を軸に、多様な働き方を実現しようとする企業も増えています。個人で見ても、今後は、一つの企業に終身雇用される従来のモデルではなく、一人一人が仕事と生活について考える時代になると思います。
つまり、ライスワークやライフワークのバランスを取りながら、社会との関わり方を考える必要がでてきます。多様な選択肢が存在する中で、これからの将来を担う学生が、大学時代にどのようなことを考え、実行するのか、学生と一緒に考えていきたいと思います。