
SDGs プロジェクト × 福津市
目次
福岡県福津市について
福津市は、福岡県の北部に位置し、二大都市とのアクセスも良好な立地にもかかわらず、豊かな自然と歴史的な名所が受け継がれ、豊かな地域資源が広がる、子育て世代に人気の都市です。市名の「福津」は、「幸福になってほしい(福)」という願いと「人々が集まる港(津)」という思いが込められており、2005年に福間町と津屋崎町が合併して誕生しました。
「福津三十六景」と称される市民自慢の風景や、「福津の極み」という地元で育まれた逸品ブランドなどをきっかけに、多くの人々が福津市の魅力に触れ、訪れたい地域を目指し、まちづくりを推進しています。さらに食文化も大きな魅力の一つであり、玄界灘に面した地域ならではの新鮮な海の幸や、風土に恵まれた野菜などを楽しむことができます。
福津市は都市と自然、歴史と現代が融合した魅力的な場所であり、住む人、訪れる人それぞれにとって大変魅力的な都市なのです。
福津市市民の挑戦を後押しする地域のプラットフォーム「キッカケラボ」

― 福岡県福津市で市民活動をしている人や、これから何かをはじめたい人が利用できる「福津市未来共創センター キッカケラボ(以下、キッカケラボ)」が設立された目的や経緯について教えてください。
福津市 地域コミュニティ課 市民共働推進係 係長 井上真智子さん(以下、井上さん):2019年、福津市は「SDGs未来都市」に選定されました。未来都市として持続可能なまちづくりを進めていく上で、テーマとしたのは「共働」です。
福津市では「共通の目的を持った市民、事業者等及び市が、お互いの立場や特性を尊重し、共に行動すること」を共働と位置づけ、2005年の合併時から力を入れて取り組んできました。約20年を経て、地域コミュニティや学校教育の取組において、共働を進める仕組みが定着しています。そのため「共働」をまちの強みとし、強みを伸ばしていくことで、持続可能なまちの実現を目指すこととしました。「共働」をさらに進めていくためには、まちや人と関わる人材を多様にし、その人材が繋がり合い、新たな可能性を生み出すためのプラットホームが必要との考えに至り、その場所となることを目指し「キッカケラボ」を設立しました。
▼ 福津市 未来共創センター キッカケラボについてはこちら 福津市 未来共創センター キッカケラボ|福津市
設立にあたっては、公募市民19人の方と一緒にワークショップで対話を重ね、市職員や地域の意見、学識経験者からの意見も反映し、取組の基礎となる方針や実施プログラムを作りました。2022年7月に設立しましたが、まだまだ試行中で、プログラムの施行と評価を重ねながら、福津の今にあったプラットホームとなるよう努めています。
現代の生活スタイルでは人との繋がりが希薄になりがちです。SDGsの考え方である、誰一人取り残されないまち、市民一人ひとりが豊かな生活が送れるまちとなるために、福津に関わる一人ひとりの方が心地よいと感じる繋がりを持ち、それを活かして、やってみたいと思うことにチャレンジすることができる環境を作ることも大切だと思っています。
キッカケラボでは、チャレンジする人に、単に「頑張ってください」と応援するだけではなく、新たな挑戦を志す方々が一歩を踏み出すキッカケを提供するための施設として、プラットフォームの役割を果たそうとしています。そして、この取り組みを通じて、福津市はより持続可能な未来への基盤を築いていけたらと思っています。
キッカケラボ ディレクター 中村善輝さん(以下、中村さん):福津市は海沿いの町であり、観光客が多く訪れることもあります。そのため、もともと海岸清掃などの環境活動や市民活動が盛んな地域でした。例えば「うみがめ課」という、環境に関する市政を担う市役所の部署があり、全国的にも注目されたこともありましたね。
▼ ウミガメの上陸・産卵についてはこちら 令和5年8月1日にウミガメの上陸・産卵を確認しました|福津市
先ほどもお話ししたとおり、市民活動は活発でしたが、キッカケラボ設立まではそれぞれが独立し、自分たちの分野で懸命に活動していたため、横の連携はあまりなかったように思います。
しかし、せっかく熱心に活動している方々が大勢いるのであれば、市としてはそれらの方々を繋げる必要性を感じていました。また、市外からも関わりたいという人々との接点が少なかったため、彼らとの交流の場を提供する必要性もありました。それが、様々な人々が出会い、新たな取り組みが生まれるきっかけを提供する「キッカケラボ」の設立に至った経緯です。
― キッカケラボは、福津市の地域柄を活かした試みなのですね。
中村さん:実は、福津市は、現在も人口が増加を続けている町なんです。若い世代の方々も、次々と移り住んでいます。福津市には、元々住んでいる方々も新たに加わった方々も、全員がそれぞれのやりたいことを実現できる環境が整っています。
しかし、昔から福津市に住んでいる方々と新しい世代の方々が交流する機会はまだ少なく、世代間での連携が難しい場面もあります。キッカケラボでは、住民みんなが協力し、肩を並べられるようなコミュニティを作っていきたいと考えています。
「市民活動が市民の幸せに繋がること」を軸とした活動支援


― キッカケラボでは、どのような活動ができるのでしょうか?
中村さん:先ほど、「キッカケラボは3年目を迎えました」とお話ししましたが、実は設立の準備段階から地域に出向いて、いろんな方にヒアリングを行ってきました。地域住民や企業の方々、金融機関など、さまざまな関係者の声を集め、地域でどのような活動が行われているか、どんな方々がいるのか、地域のことをどう思っているか、意見や要望を聞いて回っていたんです。
そして現在では、市内で活動する方々、市外から福津市に関わりたい企業、新しく移り住んできた住民の方々などを繋げる活動を行っています。キッカケラボが提供するプログラムは多岐にわたり、初めてコミュニティに参加される方々向けのプログラム、具体的な目標をお持ちの方々向けのプログラム、そして企業向けのプログラムなど、幅広い支援体制を整え、それぞれの関心やニーズに合わせた提案を行っています。
各プログラムでターゲットや目的は異なりますが、全体の目的は「繋ぐこと」です。私たちは最後まで面倒を見るのではなく、関係者を「繋ぐ」役割に注力しており、参加者が楽しみながら活動できる環境を提供することを目指しています。ここで活動の輪が広がり、より多くの交流や協力が生まれることを期待していますね。
― もともと積極的な地域の方々がいらっしゃる環境ではあるものの、「キッカケラボ」として、地域や利用者の方々との繋がりや交流を深めるために行っている活動はありますか?
井上さん:福津市には、高校生や専門学校の学生、市外から働きに来ている方々など、様々なバックグラウンドを持つ方々がいらっしゃいます。キッカケラボは、福津市で何かやってみたいという気持ちがあれば、どのような方も気軽に来ていただける施設です。まずは相談に来ていただき、この場を通じて具体的な活動の第一歩を踏み出すきっかけ作りができるような支援を行っています。
もちろん、特定の課題を解決するための入口は行政の窓口にもありますが、自分の得意分野や好きなことを活かして周囲の役に立ちたいと考えた際は、入口を見つけにくいことが多いですよね。そこでキッカケラボでは、特定の課題解決を目指す人だけでなく、趣味や特技を活かしたコミュニティ活動に興味がある人にも、気軽に相談いただけるような環境を整えています。
また、施設内で相談を受けるだけでなく、「コネクター」と呼ばれる専門スタッフが市民の活動現場を直接訪れるなど、アウトリーチも行っています。そこでの雑談から、市民の関心や課題を引き出し、それに基づいた勉強会や交流会も企画しています。
さらに、私たちは市民活動とウェルビーイングには親和性があると考え、「ウェルビーイング」をテーマにした交流会も実施しています。コネクターたちが市民の声や考えに基づき、学びや交流の場を提供していることで、より充実したコミュニティを築けているのではないかと思っています。
私たちの取り組みは、課題解決はもちろん、市民一人ひとりが自分の興味や能力を活かせる場を提供することに力を入れています。
中村さん:市民活動やNPO、ボランティアの方々は、あらゆる場面で地域の社会課題を解決する重要な担い手として扱われますよね。通常、これらの活動には非常に大変な努力が伴うイメージが先行しがちですが、福津市はそうした固定観念を払拭し、よりポジティブなイメージで市民活動を推進しようとしています。
実は、慶應義塾大学大学院の前野隆司教授が考案された計測方法に基づいて実施された、全国の自治体を対象とした幸福度調査において、福津市は幸福度が非常に高い地域であることが明らかになりました。中でも、特に市民活動を行っている人々の幸福度が顕著に高かったのです。
▼ 市民意識調査についてはこちら 市民意識調査 集計報告(令和4年2月実施)|福津市
だからこそ私たちは、「市民活動が市民の幸せに繋がること」を活動の軸としています。SDGsの推進や市民活動の拡大が地域全体の幸福度の向上に貢献し、よりウェルビーイングが高い地域を目指せるのではないでしょうか。
そして市民の方々には、必ずしも世の中のためになることだけを考えるのではなく、個人の趣味や興味に基づいた活動でも良いのだと伝えています。市民一人ひとりが自分のやりたいことを共有し、一緒に楽しむことも、市民活動の一環として大切にしていきたいと考えています。
異なる分野や世代も繋ぐ、コネクターの役割と重要性

― キッカケラボでは、市民の方々のほか、地域のNPOやボランティア団体、企業も参加されています。どのようなきっかけや目的から「キッカケラボ」に参加されるのでしょうか?
キッカケラボ コネクター 宮木裕子さん(以下、宮木さん):福津市で何かCSR活動を展開したいと考えられている企業の方々は、まずはご相談に来てくださいますよね。
井上さん:企業が持っていらっしゃるスキルを福津市で活かしたいと考えられた際、「まずはどこに相談すればいいかわからない」「相性の良い活動場所が見つからない」という悩みを抱える企業や事業者の方は、多くいらっしゃいます。そのような方々に対し、キッカケラボにはいつでも気軽にご相談できる窓口があることを積極的にPRしていますね。
中村さん:具体的な事例としては、以前、携帯電話を扱っている企業の方が相談に来られました。
「高齢者向けに携帯電話の使い方講座ができるんだけど…」というお話から始まったのですが、単発で実施しても参加者は数十人に限られてしまう上に、企業自身も「もっと有意義に実施できるはずだ」と感じられていました。
そこで、私たちは、携帯電話の使い方を他の方々に教えられる高齢者の方を増やすことで、連鎖的な効果を生み出す仕組みを提案しました。そうすることで活動が広がり、地域全体との繋がりも生まれそうですよね。
このように、皆さまのご相談を聞きながら、私たちからも具体的な人材紹介や新しい提案を行うことで、より大きな価値を創造できるよう、日々工夫を凝らしています。
― キッカケラボのコネクターの方々も、実際のお取り組みにプレイヤーとして参加されることがあるのですか?
中村さん:お節介な部分もあるかもしれませんが、割と企画段階からメンバーとして参加させていただいていることが多いと感じます。その後、自分たちの活動に自信をつけながら、私たちは少しずつ出番を減らしていくイメージです。
― 周囲からの相談内容は、非常に多岐にわたるだろうと思います。日々アンテナを張り、幅広い知識を取り入れなければ、支援するのは難しいのではないでしょうか?
井上さん:その通りです。ただし、コネクターたちはすべてを自分一人で完結させようとはしていません。
例えば、高齢者福祉に関する専門的なご相談があった場合、その分野に長けている社会福祉協議会さんや地元企業さんにヒアリングや相談に行くんです。コネクターが一人で全てを受け止めて支援するのではなく、市内で連携を図りながら、様々な方々に相談し、相談者が一歩を踏み出しやすくなるような情報提供や支援を心がけていますね。
キッカケラボ単独で全ての専門性を有することは容易ではありません。そこで、市内の多くの活動家の方々に頼りながら、幅広いサポートを提供しております。
中村さん:以前、講演会を単なる聴講の場に留めず、講演会後に参加者がテーマに関連した活動を体験できるような企画を考えたことがありました。コネクターが様々な団体を招き、会場に体験ブースを設置することで、参加者が単に講演を聞くだけでなく、自らのアイデアをブースで展示することも可能にしました。こうして、参加者の全員がプレイヤーになれる場を作ったんです。このように、人々が繋がることで新たな取り組みが生まれることにも期待し、積極的に皆さんを巻き込んだり、引き合わせたりしています。
だからこそ、困ったことがあれば積極的に周囲に助言や協力を求められる関係性を大切にしています。福津市は、互いの垣根が比較的低い地域なのではないでしょうか。私たちだけでなく市民活動を行っている団体間でも「何かあったら頼ってね」という横の繋がりが見られます。
― コネクターの方々による日々のアウトリーチは、横の繋がりを広げるための大切な取り組みなのですね。
井上さん:コネクターの方々は、異なる分野や世代を超えて繋がるきっかけを作ろうとがんばっていると感じます。
例えば、環境分野の活動家の方々は、比較的自分の専門分野に閉じていて、自分の知識やスキルが他の分野では役に立たないと感じていることが多いんです。しかし、実はその専門性が他の領域でも役立つことがたくさんあります。
そこで、コネクターたちが敢えて異なる分野の人々に積極的に相談を持ちかけに行くなど、分野を乗り越えて人々を繋いでいます。異なる分野に積極的にアプローチして人々を繋ぐことも、コネクターの重要な役割の一つです。
宮木さん:コネクターとしては、「様々な分野を掛け合わせることで新しいものが生まれると楽しいだろうな」という思いを持って人々を繋げています。単に正攻法で進めるだけでなく、むしろ予期しない、はみ出る部分も楽しみにしていますね。
コネクターの役割は、地域との結びつきを深めるために施設外での活動が極めて重要です。この目に見えない結びつきが、将来どのような形で生かされるのかを楽しみにしながら、地域との関係性を築いています。
井上さん:キッカケラボの大きなテーマは「市民活動」です。地域活動を促進するため、補助金の交付やウェブサイトでの情報発信支援などの支援活動を展開しています。これだけでは受け身で待っている状態が多くなります。こちらがただ待っていても必要な情報は集まらず、市民の方々と繋がるきっかけも生まれづらいですよね。
このような課題を踏まえ、中村さんや宮木さんは積極的に地域へアウトリーチし、情報収集をしたり相談に応じたりと、ラボ外でも積極的に活動を行っています。このような取り組みによって、市役所の職員では知ることのできなかった情報が次々と集まり、より実践的で効果的なサポートが提供できるようになっていると感じています。
「キッカケラボ」設立を契機に、地域や住民も活性化


― キッカケラボ設立当初と現在を比較すると、地域や周囲との関係や環境などに変化は感じられますか?
井上さん:行政に関して言えば、現在の「未来共創センター(愛称:キッカケラボ)」として運営される前は、ボランティア活動をしている方のための「ボランティアセンター」でした。これまでは、登録されたボランティア団体に施設の一部を無償で提供するほか、音楽団体なども登録され、地元のお祭りなどへの出演依頼の仲介も行っていました。そのため、一種の団体紹介や施設貸し出しセンターとしての役割を持っていました。
しかし、「キッカケラボ」に変わったことで、施設の貸出しや団体紹介だけではなく、より広範な支援へと機能が拡張されました。以前は「活動できる場所はありませんか?」という問い合わせのみでしたが、今では「自分たちの活動をステップアップさせたい」という相談も増えており、地域の皆さんの活動の幅が広がっていると実感しています。
私たちの情報発信も変わったからか、以前と比べて新しいことに挑戦したいという人々が集まりやすくなりました。既存の関係者だけでなく、新たに繋がった方々からもさまざまなアイデアや提案が寄せられるようになり、地域全体の活動が活性化していると感じます。
中村さん:私はキッカケラボの設立時からディレクターとして取り組みに参加していますが、以前から福津市での地域活動に携わっている人々の姿は尊敬を集めていました。一方で、何か活動に参加してみたいと思いながら一歩を踏み出せない方々も、大勢いらっしゃっただろうと思います。
キッカケラボ設立からまだ3年ですが、この間にも地域活動の様子は変わり始めているように感じます。特に、以前は活動を諦めていた方々の「何かしてみたい」という気持ちが、再び生まれているのではないでしょうか。「自分はこんなことをやってみたいんだけど」と気軽に話しかけてきてくださる方も増え、何か新しいことを始めやすい雰囲気に変わってきたと感じています。
井上さん:私たちの主軸事業である「場づくりファシリテーター実践塾BA-School(通称、バスクール)」も、良い仕掛けになっていると感じます。
▼ BA-School(バスクール)についてはこちら 場づくりファシリテーター実践塾 BA-School バスクール|福津市
バスクールとは、キッカケラボ設立1年目から開始され、毎年6ヶ月間、全6回の講座で構成されているプログラムです。参加者は、「福津市で何か新しいことを始めたい」「周囲との繋がりを深めたい」など、さまざまな理由で集まってくださっています。
プログラムでは、心地よく話せる場作りや効果的な対話の技術、ファシリテーションなどについて学びます。そして、学んだことを活かして実際に自分たちのアイデアと地域にとっての良いことを重ね合わせたプロジェクトに、チームを組んでチャレンジするのです。
第1期目は23人、第2期目は20人の方々が参加されました。地域に新しく移り住んだ方、地域との繋がりを求めている主婦の方、仕事のスキルを活かしたいと考えている方など、本当に様々な背景を持った方々です。こうした方々がチームとなり、約6ヶ月で子育て支援や高齢者と若者の交流を促す実践的なプロジェクトにチャレンジします。失敗を恐れず挑戦できる気軽な環境作りをしているため、皆さんも積極的に新たなステップに進んでくださっているように感じます。
また、卒業生が次期生のサポートを行う仕組みも設けています。これまでに43人の方々がバスクールを卒業し、現在も様々な挑戦に取り組まれています。このように、バスクールの参加者が地域で活躍する姿が他の市民にも影響を与え、積極的に参加する動きが広がっていますね。
今後の展望と読者へのメッセージ
― これから注力したい活動や新たに始めたいことなど、今後の展望について教えてください。
中村さん:取材の冒頭で「福津市がSDGs未来都市に選定された」というお話がありましたが、福津市の宣言は実は少し変わっていて、一般的な「環境都市」というイメージではなく、「昔ながらのまちづくり」を目指しているんです。福津市には、今でも隣人同士が縁側でおしゃべりしているような昔ながらの町並みが残っています。昔ながらの、気軽に醤油の貸し借りができるような周囲との小さな心地よい繋がりが、現代の幸せにも繋がるのではないかと考えています。
現代においては、地域住民が互いのスキルを出し合いながら「次はこれにチャレンジしてみよう」と提案できる、隣近所の関係を深められるようなまちになっていけばいいなと思っているんです。そのためにも、地域全体が自主的に活動を推進するような環境を目指しています。
キッカケラボを通じて地域の方々が自発的に繋がる場を提供することも大事ですが、最終的には、キッカケラボがなくても住民同士が主体的に繋がり合うことができる環境を実現することが、私たちの究極のゴールだと思っています。そして、福津市が「何かを始めたい人にとって最適な場所」と言われるようになれば、大変嬉しいですね。
― 最後に、この記事を読んでいる方々へメッセージをお願いします。
中村さん:市民活動の魅力の一つは、就職して社会に出る前に社会に触れる機会を得られる点ではないでしょうか。企業に就職する前に、地域で自分自身がプレイヤーとして何かを始めてみることで、「自分はこんなことが楽しいと感じるんだ」という新たな発見があると思います。
特に学生の皆様には、夏休みなどの期間を利用するなど、どんな些細なきっかけでも構いません。興味のある方は、是非一度福津市を訪れて、市民活動を体験してみていただきたいです。
井上さん:実際に市民活動に参加してみようと思っても、住んでいる場所や環境によっては参加が難しいこともあるかと思います。そこで福津市では、「何かを始めたいけれど何から始めればいいかわからない」という方に向けて、現在14個のプログラムを用意しています。
例えば福津市には、「日本一ハードルの低いビーチクリーン」をキャッチコピーとした「一般社団法人くらげれんごう」という団体があります。
▼ 一般社団法人くらげれんごうについてはこちら 日本一ハードルの低いビーチクリーン「一般社団法人くらげれんごう」(福岡県福津市)
大好きな海に遊びに行く中で意外と海岸が汚れていることに気付き、海遊びのついでに、気軽な清掃活動を行う団体なのですが、この活動に1日だけ行ってみたり、市内で様々な人とつながり充実した活動をされている方に1日だけ付き添ってみたりと、気軽に参加できるプログラムが多数あるんです。
市民活動を通じて社会を知るきっかけを求めている方や、まだ自分が気づいていない趣味を見つけたい方がいらっしゃれば、ぜひ福津市に遊びに来て、新たな体験にチャレンジしてみてほしいなと思います。