実家に引っ越しする際にやるべきことは?必要な手続きと費用を抑える方法を紹介

すでに必要なものが揃っている実家への引っ越しは、一人暮らしの引っ越しなどとはまた勝手が違います。実家に戻るときの引っ越しは、どのようなことに気をつければいいのでしょうか?

そんな疑問に答えるため、実家に引っ越すにあたって、必要な準備や手続きを解説します。引っ越し費用を抑える方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

実家に引っ越す前にやるべきこと

実家を出るときの引っ越しと実家に戻るときの引っ越しは、大きく勝手が違います。実家を出て一人暮らしなどを始めるときは、家具や家電などを購入したり、ライフラインを契約したりする必要がありましたが、すでに生活の基盤が整っている実家に戻るときは、逆に不用品の処分や契約の解除を検討する必要が出てくるからです。

そこで、まずは実家に引っ越すにあたってやるべきことを見ていきましょう。

大家さんへの退去連絡

現在は賃貸物件に住んでいるという人がほとんどでしょう。その場合、引っ越しに先立って、大家さんや管理会社に退去の連絡をしなければなりません。

多くの賃貸物件では、退去日の1ヵ月前までに退去連絡をしなければならないことになっており、なかには2ヵ月前までの退去連絡を求められる物件もあります。連絡が遅れた場合、引っ越し後も余分な家賃を払わなければならないことに注意しましょう。

退去連絡の期日は賃貸契約書などに記載されているため、実家に戻ることが決まったらまずは退去連絡の期日を確認しておくと安心です。

引っ越し業者の予約

実家に戻るにあたって引っ越し業者を利用する場合は、早めに引っ越し業者の手配を行いましょう。

引っ越し業者の手配は3週間ほど前に行う人が多いですが、早めに複数の引っ越し業者に見積もりを取ることで、引っ越し費用を抑えられる可能性が高まります。3週間といわず、1ヵ月前でも2ヵ月前でもいいので、引っ越し日が決まったら早めに見積もりを取るといいでしょう。

特に、3~4月の繁忙期に引っ越しをすることになった場合、平日でも予約が取りにくくなるため、早めの手配がカギになります。

ライフラインの解約手続き

実家を出て一人暮らしをするにあたっては、電気・ガス・水道といったライフラインを自分で契約する必要がありますが、実家ではすでに家族の誰かがライフラインを契約しているはずです。

その場合、現在自分で契約している電気・ガス・水道は引っ越し前に解約しておく必要があります。電話またはインターネットで、現在利用している電力会社・ガス会社・水道局に「利用停止」の申し込みを行ってください。

もし利用停止の申し込みを忘れてしまった場合、実家に戻った後に、使っていない旧居のライフラインの基本料金を請求されてしまう可能性があります。余計な出費を避けるためにも、ライフラインの解約手続きは引っ越しの1~2週間前に済ませておくと安心です。

役所で必要な手続き

実家に戻るにあたっては住民票を実家に移すことになるため、役所での手続きも必要になってきます。

同一市区町村内で引っ越す場合、引っ越し後に1度手続きをすればいいですが、異なる市区町村に引っ越す場合は、引っ越し前と引っ越し後、2回に分けて手続きをしなければなりません。

引っ越しに伴って生じる役所手続きは人によって異なりますが、異なる市区町村に引っ越す場合、転出届の提出は全員が行わなければなりません。ほかの手続きがある場合、転出の手続きとあわせて行うと、何度も役所に足を運ぶ手間が省けます。

転出の手続きは、引っ越しの2週間前から当日までにしなければなりません。引っ越し日まで2週間を切ったら、早めに手続きを済ませておきましょう。

異なる市区町村に引っ越す人が、引っ越し前に行うおもな手続きは以下の通りです。

  • 転出届の提出
  • 国民健康保険の資格喪失手続き
  • 「児童手当・特例給付 受給事由消滅届」の提出

郵便物の転送手続き

引っ越しをするとさまざまなところに住所変更の連絡をしますが、住所の登録先すべてに短期間で住所変更の連絡をするのは難しいものです。そんなときも、郵便物の転送手続きをしておくことで、旧住所宛に届いた郵便物を実家に転送してもらうことができます。

郵便物の転送は、郵便局またはインターネットで手続きができます。郵便局で手続きをする場合は、局内に設置してある転居届に記入し、現住所が記載された本人確認書類(運転免許証など)とともに窓口に提出しましょう。

「郵便局に行くのが面倒」「窓口の営業時間に行けない」という場合、インターネットの「e転居(https://welcometown.post.japanpost.jp/etn/)」なら24時間手続きが可能です。

転送期間は届け出た日から1年間。手続きを行ってから実際に転送が開始されるまでには3~7営業日を要するため、引っ越しの10~14日前に手続きをしておくといいでしょう。

NHKの解約手続き

NHKの受信契約は世帯単位なので、実家でNHKの受信料を払っている場合は、実家に戻るにあたって自分の受信契約を解除することが可能です。NHKの解約にあたっては、NHKふれあいセンター(0570-077-077)に電話して、実家に戻る旨を伝えてください。

その際、自身の氏名・現住所および、引っ越し先の実家の住所と実家でNHKの受信契約を結んでいる人の氏名が必要となります。実家の受信契約が誰の名義になっているのかわからない場合は、事前に確認しておきましょう。

実家に戻ったのに何も手続きをしないままでいると、家族の分と自分の分、受信料を二重に払うことになってしまうことにご注意ください。

荷造り

引っ越しの1~2週間前から、段ボール箱などの梱包資材を用意し、荷造りを始めます。ただしその前に、不用品の処分をしておきましょう。

実家を出て1人暮らしを始めるときなどは、家具や家電をはじめさまざまなものを買いそろえる必要がありました。逆に、生活用品が揃っている実家に戻るときは、家具や家電が重複しないよう、不要なものはあらかじめ処分しておかなければなりません。

もし自分が使っている家具や家電のほうが状態や質が良い場合などは、実家のものを処分するのもひとつの選択肢です。あらかじめ実家の家族と話しあって、何を残して何を処分するかを決めておきましょう。

なお、家具や家電などの大きなものを処分する際は自治体に粗大ゴミの収集を依頼するのが一般的ですが、粗大ゴミは申し込みから収集までに1~2週間かかることが多いもの。「引っ越しに間に合わない」ということのないよう、粗大ゴミ収集は早めに申し込みましょう。

新しく状態の良い家電などはリサイクルショップに買い取ってもらえる可能性もあるため、売ることを検討してもいいですね。

電気の引っ越し手続き

実家への引っ越し費用を抑える方法

実家への引っ越し費用を計算する女性

実家に戻って新しい生活を始めるにあたって、引っ越し費用はできるだけ抑えたいものです。

引っ越し費用は荷物の量や引っ越しの時期、見積もりの依頼方法などによって異なってきます。そこで、少しでも引っ越し費用を安く抑えるコツをご紹介しましょう。

引っ越しの荷物を極力減らす

引っ越し費用を左右する要素のひとつが、荷物の量です。荷物が多いとそれだけ搬出・搬入に時間がかかりますし、大きいサイズのトラックを用意しなければならないためコストがかさみます。

反対に、荷物が少ないと手頃な料金の単身パックなどを利用できるため、大幅に引っ越し費用を抑えることができます。できれば引っ越しの1ヵ月ほど前から、不要なものは捨てる、売るなどしてものを減らすようにしましょう。

実家に生活環境が整っている場合、引っ越し前に家具や家電などを処分する人も多いはずです。大きな家具や家電がない場合は、引っ越し業者ではなく宅配便を利用するのも手。移動距離にもよりますが、身の回りのものをすべてダンボール箱に詰めて送ることができれば、引っ越し業者を利用するよりも費用が安くなる可能性があります。

2月~4月の繁忙期を避ける

引っ越し費用は時期によっても大きく変動します。

特に引っ越し費用が高騰するのは2月~4月の繁忙期。なかでも3月~4月は1年で最も引っ越し費用が高額になる傾向があります。引っ越しの時期に融通がきくのであれば、3~4月を避けて引越しの日程を組むといいでしょう。

また、同時期でも引っ越し依頼が集中する休日に比べ、平日のほうが費用を抑えられる傾向にあります。平日に時間が取れる方は、平日の引っ越しを検討してみてください。

複数業者から見積もりを取る

引っ越し費用を抑える最も効果的な方法のひとつが、複数の引っ越し業者から早めに見積もりを取ることです。複数業者に見積もりを依頼すると、ライバルがいることで競争原理が働き、こちらに有利な条件を引き出しやすくなります。

1度に複数の引っ越し業者に見積もりを依頼する際は、引っ越し一括見積もりサイトを利用すると手間なく複数業者から見積もりをもらうことができます。

実家へ引っ越しした後にやるべきこと

住民異動届

「引っ越し作業が終わったらひと段落」といきたいところですが、引っ越し後にもさまざまな手続きが待っています。期限がある手続きもあるため、引っ越しをしたら忘れないうちにやっておきましょう。

役所で必要な手続き

引っ越し先の実家が現在の住まいと同一市区町村内にある場合、引っ越し前の役所での手続きはありませんでしたが、引っ越し後は必ず何らかの役所手続きが必要になってきます。

引っ越した人全員が行わなければならない手続きが、「転居届」または「転入届」の提出です。運転免許証などの本人確認書類を持参のうえ、引っ越しから14日以内に手続きを済ませてください。

  • 転居届の提出(同一市区町村内で引っ越す場合)
  • 転入届の提出(異なる市区町村に引っ越す場合)
  • 国民健康保険の住所変更手続き(国民健康保険の加入者が同一市区町村内で引っ越す場合)
  • 国民健康保険の加入手続き(国民健康保険の加入者が異なる市区町村に引っ越す場合)
  • 児童手当認定請求書の提出(児童手当を受給している人が異なる市区町村に引っ越す場合)
  • 国民年金の住所変更(国民年金の第1号保険者となっている人のみ)

※ただし、マイナンバーと基礎年金番号が紐づいている人は手続き不要です。

  • マイナンバーカードの住所変更手続き(マイナンバーカード保有者が同一市区町村内で引っ越す場合)
  • マイナンバーカードの継続利用手続き(マイナンバーカード保有者が異なる市区町村に引っ越す場合)
  • 印鑑の登録(登録希望者が異なる市区町村に引っ越す場合)
  • ペットの登録事項変更

その他の住所変更手続き

引っ越しをすると、住民票の異動をはじめとする役所での手続きのほかにも、以下のようなさまざまな手続きをしなければなりません。

  • 運転免許証の住所変更
  • 車庫証明の住所変更
  • 車検証の住所変更
  • 勤務先への住所変更の届け出
  • 銀行口座の住所変更
  • クレジットカードの住所変更
  • 生命保険など個人で加入している保険の住所変更
  • 携帯電話、スマートフォンの住所変更
  • 通販サイトなど各種会員サービスの住所変更

特に、車関連の住所変更手続きや、勤務先への届け出は重要度が高いため、引っ越したらできるだけ早く済ませましょう。運転免許証の住所変更手続きに明確な期限はありませんが、車庫証明と車検証の住所変更手続きは、引っ越しから15日以内に行うようにしてください。

電気の引っ越し手続き

実家に戻る場合でも必要な手続きは忘れずに

実家に戻る場合であっても、引っ越しに伴って必要になってくる手続きの内容はほとんど変わりません。

ただし、家具や家電が重複しないように事前に荷物を整理しておくことや、ライフラインの解約などについては注意が必要です。本格的に引っ越し準備を始める前に、実家の家族と話し合って認識を共有しておくといいでしょう。